アールキュリアル・レトロモービル・オークション・リザルト

●2016.02.05-06 パリ／フランス レトロモービルの会場内で行われるアールキュリアル・オークションで、フェラーリ335Sが史上最高となる落札額を記録した。  
フランスのオークショナーであるアールキュリアルは、世界的に見ればマイナーな存在といえる。しかし、地元パリで開かれるレトロモービル内で行われるオークションは、同社のメイン・イベントとなる存在なだけに、毎年マニアックな車両が用意されることで知られている。今回は2日間で行われ、古今東西の名車、珍車171台が用意された。 またレトロモービル・ウイークに開かれるRMやボナムスなどのオークションがパリ市内の別の会場で行われるのに対し、アールキュリアルはレトロモービルの会場内で行われることが特徴といえる。 今回の看板モデルとなったのはシャシー・ナンバー0674の1957年型フェラーリ335S（スポルト）だ。当時のスクーデリア・フェラーリのワークス用として4台のみが作られたレーシング・スポーツカーである。 当初315Sとして製作され1957年のミッレ・ミリアでウルフガング・フォン・トリップスのドライブで総合2位、同年のル・マンではリタイヤに終わるが、スウェーデンGPで4位、ベネズエラGPではマイク・ホーソンとルイジ・ムッソが乗り2位を勝ち取る。その後4ℓエンジンに換装し、ポンツーン・フェンダー・スタイルにモディファイされ335Sとなったもの。335SになってからキューバGPではスターリング・モスが優勝を勝ち取るという、素晴らしいレーシング・ヒストリーを備える。 1970年から世界一のフェラーリ・コレクターだったピエール・バルディノン氏のマデュクロ・コレクションに収められていたもので、46年ぶりに放出されることになった。ちなみに現在は当初のスタイリングに戻されているが、モディファイ後のポンツーン・フェンダー・スタイルのノーズも保管されており、車両に付属するという。 このフェラーリ335Sは、希少性の高さに加え、素晴らしいレーシング・ヒストリーを備え、完璧な状態に保たれていることから、世界中のフェラーリ・エンスージァストから注目を集めることになった。オークションでは予想落札額を上回る?32,075,200／42億186万円まで競り上がり、フェラーリのオークションにおける最高落札額記録を更新した。 ここでのもうひとつの注目車は、オフィシャルに製作されたフェラーリ・テスタロッサ・スパイダー・ヴァレオだ。フィアット・グループの総帥であるジャンニ・アニエッリのために製作されたワンオフ・モデル。改造車ではなく、VINナンバーも普通のテスタロッサがZFFTA17〜となるところ、このスパイダーはZFFTA30〜と専用の形式が与えられた正規のモデルなのである。アピアランス、希少性、ヒストリーともに完璧な個体ため、入札が続き3番値となる1億5851万円で決着した。 2番値を記録したのは1963年型アストン・マーティン DB4 コンバーチブル・シリーズ 5の1億9299万円だった。以下4番手から10番手をまでを記すと1903年型ムーンビーム（1億4504万円）、1972年型フェラーリ365GTB/4デイトナ（1億2493万円）、1995年ブガッティEB110 SSル・マン（1億2337万円）、1995年ブガッティEB110 SS（1億2180万円）、1931/2012年型ブッチアリ・コード・タイプL29モディファイ（7808万円）。1960年型マセラティ3500GT ヴィニャーレ・スパイダー（7183万円）、1968年型フェラーリ330GTC（7027万円）という結果となった。 またエンスージァストの注目を集めたのは40年間ガレージで寝ていたアルファ・ロメオ・ジュリア・スプリント GTAだ。それなりに痛んではいるものの、オリジナル度が極めて高いことから驚きの5778万円で落札された。このほかにもメジャー・オークショナーにはあまり出てこないマニアックなモデルも並び、コレクターの人気を集めていた。 フランスのオークショナーがフランスで開くオークションだけに、ヴィンテージ期のフランス車も数多く用意された。ドライエ、ブガッティからルノー、プジョーらの流麗な姿が会場に並んだ。 今年の2日目は、コレクターが所有していた新旧のシトロエン48台が大放出され、シトロエン・ファンの人気を集めていた。




■2月5日開催分 ■2月6日開催分