2台のスモール・フェラーリ、ディーノ246GT & 308GT4

公開 : 2017.04.22 00:00  更新 : 2017.05.29 18:52

フェラーリに格上げされた308GT4

議論の的となった2+2の兄弟分が加わったのは1973年のパリ・モーターショーでのことだ。こちらのクルマは7年間製造され、1976年には好評を得たためフェラーリ本来のエンブレムが付けられることになった。デザインを実際に担当したマルチェロ・ガンディーニがそれほどの工夫を凝らしていないのは、この308GT4の図面をその前の仕事であるランボルギーニ・ウラッコのものと比べてみれば一目瞭然であり、これがフェラーリの気に入らなかったのは、トップ・デザイナーから外されたピニンファリーナが腹を立てていたのと、正に同様であった。シャーシは246の鋼管スペースフレーム構成をストレッチしたもので、さらに兄貴分のその他の(フェラーリにとって)先進的な機能もそのまま受け継がれたが、その中でも4輪ディスク・ブレーキとラック&ピニオンのステアリングは特筆に価する。

V6の宝石は’69年に登場した246を機に1987ccから鉄製ブロックの2418ccになった。


エンジンは別として、この2台のディーノはメカニズムとしてはかなりの部分を共有しており、4連ウェーバー製キャブで吸気する4カムV8の、3連ウェーバーV6に対する出力上の優位は、246の重量上の利点をもってしてもそれを打ち消して十分なものだった。これは予想よりもはるかに僅差の激戦かもしれない。

対象的なルックス 大接戦のインテリア

しかし、低く構えたしなやかな曲線で構成されたスポーツ・レーサーという、246が当然のごとく勝ち得ている不滅の美学的評価は、もしかするとルックスの領域の問題ではないかもしれない。全てのイコンとなった古典的名車のほとんどと同様に、そのシェイプは実に魅力的だ。それに比べGT4はむしろ古さを感じさせる。切れのよい清潔なラインは控え目で、記憶にあるほど鋭いものではない。さらにシェイプには見事なシンメトリーが存在しており、特に真横から見ると、思い切り角度のついたグラスと細いピラーのためにそれがよくわかる。しかし、冷静にじっくりと見てゆくと、このデザインもなかなか魅力的であることに気がつく。あと2+2であることも忘れてはならないところで、特にモンディアルのいかにも収まりの悪そうなシルエットに比べたら、308GT4のパッケージングのほうがはるかに完成度が高いことは納得していただかねばなるまい。

マラネロの新しい赤子にフェラーリのブランドは付かなかった。


インテリアの戦いはまさに大接戦だ。246のほうがより質素で、3本のレバーがほとんどの機能を担当し、シートとヘッドレストは今回の1972年式の個体でもまだプラスチック製だ。これは現在となっては本当にレアなもので、動作可能な8トラックのプレイヤーと同じくらい珍しい。室内はスタイリッシュかつ快適で、ダッシュボードの正面にずらりとメーターが並んでいるのが印象的だ。また予想よりも車内は広く、閉じ込められたように感じることは決してない。

ほとんど同じことはGT4にも当てはまる。ホイールベースが延長されているにも係わらず、2+2のレイアウトのせいで、わずかではあるが足元はこちらのほうが狭い。リヤのジャンプシートはなんとか実用になるもので、私は写真撮影後40マイルをこの後席で過ごしたが、特に不快に感じることはなかった。しかしGT4で特に心を動かされるのは今までに見た数あるクラシックカーの中でも最高のひとつに数えられるダッシュボードだ。運転席に座るとまるで漫画「未来飛行士ダン・デア」の主人公が土星に向かって宇宙飛行しているような気分であり、真正面の主要なメーターはブラシ研磨のアルミ製フェイシアに収まっていて、補助メーターは理想的な角度でドライバー側を向いている。実に素晴らしく居心地のいい場所だ。

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