ロードテスト(3) マクラーレン720S ★★★★★★★★★★

2017.08.13

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

エクステリアを、これまでのスーパー・シリーズから明らかに変えたのは正解だ。

12Cにはじまり、650/675へと続いたマクラーレンの中心的ラインナップたるスーパー・シリーズが確立した要素、
・ミドシップレイアウト
・V8ツインターボ
・カーボンモノコック
・ディヘドラルドア
そして手の込んだサスペンションは全て、広範囲にわたり開発しなおされたが、基本的には同じ技術を用いている。

となれば、それが空力的要求によろうが、オトコのコの夢的なものであろうが、既存モデルと全く異なるルックスによる差別化の重要性は高い。

もちろん、変化の多くはマクラーレンらしく、エンジニアリング的な改修の結果か、それを示すためのものだ。

たとえば、ボディサイドから一見してそれとわかるエアインテークが消えたのは、ラジエーターへ気流を導く新たなダクトがドアに組み込まれたからだ。

また、ティアドロップ型のガラスハウスときわめて細いピラーは、新世代のカーボンモノコックの恩恵である。

構造部分をルーフの一部にまで広げたカーボンモノコックは、720Sにおける設計見直しのキモだ。

このモノケージIIが、キャビン部の強度アップをもたらすのは予測できるだろうが、スチール部材の使用比率が減るため軽量化にも寄与する。

重量は18kg削減され、重心高は3%低下した。シャシー面では、フロントのキャスター角とリヤのトー角を拡大し、高速域でのスタビリティを向上。サスペンションは、上下ウィッシュボーンとハブキャリアの設計変更で、バネ下重量を16kg削っている。

こうした見直しの積み重ねにより、720Sはスーパー・シリーズ最軽量の乾燥重量1283kgを達成。全備重量は実測1420kgだったが、これは昨年のテスト時に計測した488GTBのそれより135kg軽い。

しかも、720Sは488GTBよりパワフルだ。ウォーキング筋によれば、今回の4.0ℓユニットは、従来の3.8ℓユニットから40%のパーツを更新。これには軽量化されたピストンとコンロッド、強度を高めたクランクシャフト、新型のターボとインタークーラーなどが含まれる。

排気量拡大は、3.6mmのストローク延長によるものだ。8200rpmで発生する720psのパワーは、1トン当たり500ps以上のパワーウェイトレシオを実現。

トルクは488GTB比+1kgmに過ぎないが、トン当たり55kgmを超える対荷重比は、マラネロ生まれのライバルを大きく凌ぐ。

7段DCTを介し、後輪を駆動するのはこれまで通り。シャシーコントロールシステムも基本的にはキャリーオーバーされ、各ダンパーをアクティブ制御することでスタビライザーを不要としている。

大きく変わったのは制御面だ。各輪3基の計12基が増設されたセンサーからの入力によって弾き出されるアルゴリズムはケンブリッジ大学との共同研究によるもので、ホイールの動きに対して、2ミリ秒以下で分析と反応を完了する。

微細な部分にまでマクラーレンの本職ともいうべきレースに由来するエンジニアリングが詰め込まれているが、彼らは楽しみの部分にも目を向けた。

それが、今回初めてお目見えしたバリアブル・ドリフト・コントロールだ。これはスタビリティコントロールの介入量を可変させ、ドリフトの許容度を調整するもので、フェラーリのサイド・スリップ・コントロールに似たシステムと言える。

 
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