ロードテスト(3) マクラーレン720S ★★★★★★★★★★

2017.08.13

乗り心地と操縦安定性 ★★★★★★★★★★

720Sのステアリングホイールを最初に回した途端、マクラーレンが油圧アシストこそベストだとこだわる理由に気付くだろう。

ロックトゥロックは2.5回転あり、神経質さはまったく感じられず、それでいて十分にダイレクトで正確無比。重さも申し分なく、路面フィールを素晴らしく伝えてくれる。

それにシャシーのほかの部分がきっちり追従するのも、これまでのマクラーレンと同じ。プロアクティブ・シャシー・コントロールは、従来ノーマルと呼ばれたモードが、マクラーレンにとってはノーマルな状態ではないという理由からコンフォートへと名称を変えるなどの変更を受けたが、その3段階中最もソフトなモードでの乗り心地は巧みにセッティングされている。

必要とあればスプリングはソフトに弾み、しかし、より挑み甲斐のある道ではしっかりとしたレスポンスをみせ、いずれの場合でもボディコントロールとロールの抑えぶりはエクセレントだ。

モードをスポーツやトラックへと移行すれば、快適性が多少削られるのと引き換えにコントロール性が高まるが、それでも過酷な道に十分に追従できるしなやかさは持ち合わせている。

コーナー途中でのバンプをものともしないさまは、ちょっと他には見られない。ポルシェ911GT3ならタイヤが跳ねるような場面でも、720Sならば問題ない。サーキットと公道での作動の違いはナノ秒単位の差に過ぎない。

やはり、720Sはこれまでのマクラーレンと同じ路線上にあるクルマだが、650Sよりも、サーキットをぞんざいに走っても楽しめる。

650Sは、アペックスまでブレーキを残すとか、スロットルを一定に保つとか、クルマに適した走り方を求める。それがハマればうまくコーナリングできるが、全てのコーナーに当てはまるわけではないし、そのせいで488GTBほど走りに没頭できないのも事実だ。

あのV8フェラーリのシャシーバランスは、もっと多くの場面で、より幅広い選択を可能にしてくれる。

720Sは、これまでのモデルと同じくLSDを備えないが、今回はついにスロットルで進行方向を調整できるスーパー・シリーズとなった。

しかも、容易に。650Sよりアンダーステア傾向は弱められ、スライドした際には扱いやすく、大きく滑ってもコントロールと予測が簡単。

ブレーキステアの助けで、外輪により大きなパワーをかけてグリップ限界を超えることができるのもあるが、純粋にリヤをブレークさせるだけの絶大なパワーとトルクを備えるのも一因だ。

結局、488GTBはスロットル入力に対するレスポンスがよりダイレクトで、それはシャープなスロットル・レスポンスと、効果的にパワーを後輪へ伝達するeディファレンシャルの恩恵だ。

その点では、より自由で暴力的だ。しかし720Sは、それに近いところにありながら、よりバランスがよく、ロードカーとして夢中になれるクルマだ。

 
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