見た目は93年式レンジローバー 中身はディスカバリー3 3540万円の価値は

公開 : 2017.09.05 12:10  更新 : 2017.09.05 17:41

V8、とにかくパワフル 快適性も高い

エンジンに火を入れるとGM製の怪物が静かに目覚め、鼓動のようなアイドリングをする。

トランスミッションのマッピングは、プロトタイプ後期のほうで熟成された効果的なモノ。低速では耳障りな音が時折発生するものの、充分なアシストのステアリングや、分かりやすいスロットルの作動、見切りの良さなど、街中を紳士的に走るにはとても良くできている(くぼみなどの偶発的な大きめの衝撃は仕方ないとしても)。

走行性能についてはどうだろう。

元となったシャシーには、調節可能なエアサスが備わっていたが、JIAはその機能を頻繁に使うことはないだろうという見解を見せている。

というのもセンターデフを効かせることはもはや無く、このシャシーではより舗装路に重点を置いていて、車体下のスペースが充分ではないというのが理由。であるから悪路へのチャレンジは避けるべきかもしれない。足はオリジナルのものから、ダブルウィッシュボーンに置き換わっていた。

コーナリング性能については期待していなかったものの、限界を感じるようなスピード域でもアナウンスされた通りのもので、ステアリングが変にバタつくことはなかったのでリラックスしていられた。言ってしまえば、コーナーなんて次のストレートのための通過点、そんな感じだ。

挑発的にひとつ、ないしふたつギアを落としてみる。

すると、マッシブで持続的なトルクがV8の咆哮とともに車体を押しだす。このLSAユニットは2750rpmから力強い加速をするが、ずっと3500rpmから6000rpmまでのオイシイところをキープできればホットロッドだって顔負けである。

路面状況が悪い場所でも、不安定だという感じはしない。時速112kmでコーナーに姿勢を作り飛び込むとエアサスが沈み、仕事をしているようだ。そうでなければ、車内ではハンドルにかじりつき、空いたほうの左足でコンソールを軸に体を抑えることになりかねない。

ロードノイズは小さく、風切り音に関しては許容範囲内。モダンな仕様変更は、クルマのイメージとは少しマッチしていないようにも思えたが、しかしこの静粛性のおかげでゲイリー・ニューマンの楽曲を楽しむことができた。

APレーシングの大きめのブレーキが奢られ、柔らかな足がロールしている最中もいい仕事をしていたが、トラクションコントロールとABSはどちらも装備されていなかった。これは必要なのでは? と感じた。

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