現実の選択 毎日使える1000万円級スポーツカー対決 前編 回顧録

公開 : 2018.09.22 10:10

高級で洗練されたTT RS

TT RSには、FQ-400とまさに正反対のことがあてはまる。FQ-400からこちらに乗り換えると、はるかに高級感のある内装と堅実極まりない素晴らしい造りがもたらすTT RSのフィールに圧倒されてしまうだろう。にもかかわらず、価格はこちらのほうが約140万円ほども安いのだから驚かされる。

FQ-400に比べたら、ドライバーに妥協を要求する部分はほとんどと言っていいほどない。しかもボディシェルとエンジンのリファインははるかに先を行っている。乗り心地には少々問題があり、時にちょっと不快な挙動を見せる難点はあるが、それとて長距離を快適に移動する能力を大きく損なうほどのものでは決してない。

新型の2.5ℓ5気筒エンジンも実に快適だ。出力は確かにランエボよりも69psも少ない。しかし、真剣に走り込んだときでも、TT RSがあからさまに見劣りするようなことはなかった。それどころか、トルクバンドが広くて実に扱いやすかった印象だけが残っている。

同様にクロスカントリーでも、TT RSはスピードを維持するのになにも問題がなく、クワトロのおかげで(もっとも、実はこのモデルは本物のフルタイム4WDではなく、ハルデックス製のオンデマンド4WDなのだが)トラクションで苦労する場面はほとんどなかった。

とにかく速さの追求がなによりの快感だという人なら、TT RSは満足以上のものを与えてくれるだろう。今回のテストではもっとも価格の安いクルマでありながら、実際にはほかのどのクルマとも対等に走れるだけの速さを備えていることがわかった。それに、紙上のデータではFQ-400のほうが速いのだが、クラッチが音を上げるまでにこなせる0-100km/h加速の回数では上を行く。

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