カルロス・タバレス PSAグループを生まれ変わらせた手法とは?

公開 : 2018.11.24 11:40  更新 : 2021.03.05 21:42

劇的な経営改善

東風汽車とフランス政府はPSAの株式をそれぞれ14%ずつ取得し、プジョー家は8世代にわたり経営してきた会社の経営権を手放した。ゼネラルモーターズがこの病める企業を丸ごと買い上げるという話まであったのだ。

東風汽車の資金援助は正しい道への第一歩だった。これでPSAは、喉から手が出るほど欲しがっていたアジア市場への足掛かりと、生き残りに不可欠な資金を得ることができた。そこへタバレスが登場する。ルノーのCOOを辞してPSAのCEO兼取締役会議長として招へいされたのだ。

タバレスはすぐに「競争力回復戦略」と名付けたプランを実行に移した。PSAの競争力を取り戻すのに必要な目標を設定するものだ。プロダクト・ラインアップの合理化、グローバルマーケットでのシェア拡大、グループの各ブランドにまたがる幅広いコスト削減と効率の向上などが柱だ。

当時、タバレスは会社のキャッシュフローと営業利益率が成功の目安であると言っていた。彼は2015年にこれらの目標を達成した。PSAは営業利益率が(目標の2%に対して)5%、利益は9億5000万ポンド(1400億円)だと公表した。2010年以来初めて黒字となった。

さらなる成果は、世界市場の予想以上の伸びにも助けられ、PSA工場の生産性が2012年の65%から2016年は90%と劇的に向上し、会社の損益分岐点が大幅に下がったことである。これは「競争力回復戦略」プランのすべての目標がまるまる2年前倒しで達成されたということだ。

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