スーパーサルーン対決 パナメーラvsラピード 感性で選ぶなら 回顧録

公開 : 2019.01.03 07:40

デザインも造りも正反対

今回の対決は、どの一部分を取り上げても実に見応えのある、堂々たる戦いとなった。特に、どちらも単なる伝統的な高級サルーンの領域をはるかに超えてクルマを仕上げてきた点が興味深い。ポルシェはまさに未知なる領域に足を踏み入れ、アストンは意外にもまったく忘れ去られていた分野を再発見していたのだ。

どちらのクルマも簡潔に説明してしまえばほとんど変わらず、ともに高性能なスポーツカーで、ルックスはまるでクーペそっくりだが機能的にはサルーンと同等──となる。だが、実はこの2台は、デザインも造りも正反対と言っていいほど異なっていた。

ポルシェはこれまでに蓄積してきた途方もない量のエンジニアリングに関するノウハウをパナメーラに投入する決断をしたが、それは同社だからこそ可能だったアプローチだ。過給機を備えた直接燃料噴射の4.8ℓV8エンジン、7速DCT、それに四輪駆動と最先端技術を使った情報インターフェイスなどがその例である。

英国人としては遺憾ながら、正直に言わせていただくと、仮に望んでいたとしても、アストン マーティンにはこのようなクルマは絶対に不可能だっただろう。これまでがそうだったように、現在も同社の顧客はより保守的な層であり、だからどちらかというと伝統的なクルマ作りを求めている。

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