回顧録 ミニマム級シティカー対決 VWアップ vs トヨタiQ 後編

公開 : 2019.02.08 17:10  更新 : 2021.01.28 16:55

iQよりも上級感

アップからiQに乗り換えると、その瞬間に感じるフィールの違いに驚かさせる。iQはアップよりも高級なクルマに感じられ、より重量感があり、上級クラスのモデルのように思えるからだ。

絶対的な重量の軽さを考えたら、いささか奇怪にすら思えてしまう。また、こちらのほうが運転席の座面が高いので、その分だけ路上での前方視界も良好だ。前席キャビンには幅があって広々としており、シートも非常に快適である。

ただ、残念ながら今回は1.0ℓ68psのマニュアルモデルを借りることができず、試乗車は上級の1.3ℓ98ps+CVT仕様だった。市街地での交通では、このわずかな出力の差が実際の走りでは大きな違いとなって現れる。

このiQは発進加速時から、間違いなくアップよりも速かった。高級感や車内の快適性、それにリラックスした走りでiQが完全にアップを凌いでいるように感じられたのは、そのためでもあるだろう。

iQに乗っていると、周囲の喧騒から快適に遮断されている感覚があり、これには余裕あるトルクと自動変速のトランスミッションもひと役買っているのは確かだ。しかし、乗り心地そのものはアップほど快適ではない。長いうねりを越えるときには「急潜航」のような挙動があり、舗装の穴を通過する際の衝撃はかなり強烈だ。

ブレーキも、走行距離2万1000kmの個体だからパッドの摩耗などによる疲労も考慮する必要があるとはいえ、制御不能なロックに陥るポイントがアップよりも明らかに早くやってくる。

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