ロードテスト ボルボV60 ★★★★★★★★★☆

公開 : 2019.03.10 09:50

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

乗り味 ★★★★★★★★☆☆

フォード由来のプラットフォームをベースにした初代V60も乗り心地は良好だったが、ポールスター仕様を別にすれば、広告代理店がいうようなスポーティさより平凡な印象のほうが強かった。ありがたいことに、自社開発となったシャシーと調整式ダンパーとの組み合わせは、英国でも最悪の路面でなければ、V60の角が取れた乗り心地を損なうことはない。実際、市街地での速度域でスプリングがやや利きすぎな傾向のフィールは抑えられ、このシャシーはライバルに比べ、日常使いでの快適性にドンピシャなセッティングと感じられる。

とはいえ、巡航時のキャビンには、CクラスやA4より大きめのタイヤノイズが侵入してくる。まだ試していないので断言はできないが、ローダウンサスペンションを組んだRデザインパッケージは、慎重に選びたいオプションだといえそうだ。

スポーティさに関しては、話はもっと複雑だ。このV60は満足のいくバランスを見せ、速度を上げても神経質さや緊張感を感じさせず、もっともボルボのワゴンらしくないボルボのワゴンに仕上がっている。ボルボはエアサスペンションを用意していないが、それもほぼ必要とは思えない。というのも、縦横双方ともボディの動きはタイトかつ正確にコントロールされ、ロングホイールベースがスタビリティをもたらしているのが明らかに見て取れるからだ。確かに、このシャシーは俊敏で、苛立ちを覚えることはないのだが、予定調和の走りで事足りるようなドライバーでもなければ、心から楽しめるものでもない。

方向転換は淡々としたもので、ステアリングはボルボの中型モデルがいつもそうであるようにインフォメーションを伝えてはこない。これでダイナミクスが移り気なものだったら、悲しいクルマになっていた。ところが、シャシーを担当したイェーテボリのエンジニアたちはプライドにかけて、非常に足取りのしっかりした、日々快適で悠々と走れるクルマを造り上げた。とはいえ、走り志向のドライバーの価値観において3シリーズにプレッシャーをかけたいなら、やるべきことはまだまだ多い。

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