ランチア・デルタS4ストラダーレ、1億円超えで落札 RMサザビーズ・オークション

公開 : 2019.05.05 13:55

ランチア・デルタS4は、究極のラリーとして伝説を生んだグループBの中でも極めつけのマシン。RMサザビーズで「デルタS4ストラダーレ」が驚きの額で落札されました。

text: Kazuhide Ueno(上野和秀) photo: RM Sotheby’s/Drew Shipley

グループBカーとは

FIAは複雑になりすぎた車両のクラス分けを整理するため、それまでのグループ1~9からグループA~Nに再区分して1982年から施行する。ラリーカーではそれまで義務生産台数が400台だったグループ4から、義務生産台数が連続する12カ月間で200台のグループBに移行し、専用のマシンの開発を容易にさせる規定へ再編された。

このグループBに真っ先に対応したのがランチアで、アバルトが開発した鋼管スペースフレームにミドシップというレーシングマシンそのものの構造を持つ後輪駆動の037ラリーを送り出し、1983年のマニュファクチャラーズ・チャンピオンを勝ち取る。

しかしグラベルや氷雪路では4輪駆動車が優位であることが明白となり、ランチアもミドシップ4WDのデルタS4を投入する。このデルタS4の開発もアバルトが担当し、ミドに積まれるDOHC直列4気筒1759ccエンジンはスーパーチャージャーとターボチャージャーの2段掛けとし、ストラダーレで250hp、ワークスマシンでは最終的に600hp超まで高められ、テストでは1000hpを越えていたという。

こうしてトップレベルの戦闘力を手に入れたランチアは、デビュー戦となったWRC1985年最終戦のRACラリーでデビューウインを飾り、翌1986年シーズン開幕戦のモンテカルロ・ラリーも制し王者は確実かと思われた。

しかし第5戦のツールド・コルスでエースドライバーのヘンリ・トイボネンがコントロールを失いコースアウト、炎上して亡くなるというアクシデントが発生してしまう。

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