シトロエンの描く未来 試乗 シトロエン19_19コンセプト ハイドロに浮遊するキャビン

公開 : 2019.08.06 10:10  更新 : 2021.03.05 21:42

タイヤの間に浮遊するパッセンジャー・セル

シトロエンのデザイン・チーフであるピア・ルクレルクは「このクルマの発端となったアイデアは、浮遊したパッセンジャー・セルです。ホイールの上に浮いた雲のように」 と説明する。スタジオの中で20km/h程度の低速で走らせている限り、それをイメージすることは難しい。しかし、豪奢なシートに先進的なサスペンション・システム、ラウンジのような雰囲気の車内空間は、天上の空間を想像することも難くないムードがある。

ちなみにサスペンションには、アンチロールシステムに、タイヤセンサーによる路面状態の読み取りシステム、シトロエンらしいプログレッシブ・ハイドロ・サスペンションが搭載されている。フロントシートは飛行機のファーストクラスのような快適さで、その柔らかな乗り心地と相まって、昼寝をするにはうってつけ。ダッシュボード下のパーソナルアシスタントが、目的地に到着すると優しく話しかけて、目覚めさせてくれる。

美しく前衛的なクルマを路上に持ち込みたいところだが、パーソナルアシスタントの優しい言葉とは裏腹に、それは最後まで叶わなかった。このクルマはシトロエンの未来を描いただけでなく、過去の栄光をも表現しようとしたコンセプトモデル。言語を超えた創造性の塊として、姿を表したのだ。

シトロエン19_19コンセプトのスタイリングやアイデア、パワートレイン、コミュニケーション、カラーやテクスチャなどデザインのすべては、シトロエンが持つクリエイティビティの高さを、今の時代に具現化させた象徴。この中のいくつかは、そう遠くない未来、現実のものとなるのだろうか。

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