なぜ新型カローラは3ナンバーに? 苦渋の選択、売れ行き影響は? トヨタの対応策

公開 : 2019.09.17 13:05  更新 : 2021.10.22 10:17

12代目となる新型トヨタ・カローラは、セダン/ワゴンも5→3ナンバーサイズになりました。トヨタは苦渋の選択だったといいます。そこでトヨタは対応策を打ち出しました。

3ナンバーの新カローラ、売れ行き下げる?

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)/トヨタ

従来型のトヨタ・カローラは、長年にわたり5ナンバーサイズのセダン&ワゴンとして発展してきた(ミドルサイズ・ハッチバックのルミオンを除く)。

それが12代目の新型では、3ナンバーサイズに拡大された。

ハッチバックのカローラ・スポーツにくわえて、セダン/ワゴンも3ナンバー化した。
ハッチバックのカローラ・スポーツにくわえて、セダン/ワゴンも3ナンバー化した。    上野和秀

まず2018年に5ドアハッチバックのカローラスポーツが3ナンバーサイズで発売され、2019年9月17日には、セダンとワゴンのツーリングもフルモデルチェンジを受けて3ナンバー車になった。

あらためて振り返ると、従来のカローラでは、5ナンバーサイズのセダン&ワゴンであることが大切な特徴だった。

今は大半のセダン&ワゴンが3ナンバー車になり、カローラ以外では、5ナンバー車のセダンがグレイスとプレミオ&アリオン、ワゴンはシャトルに限られるからだ。

そのほかの5ナンバー車は、フィットやヴィッツのような5ドアハッチバックのコンパクトカーになる。

5ナンバーサイズのセダンやワゴンが欲しいユーザーにとって、カローラは貴重な選択肢であった。

またカローラは初代モデルを1966年に発売した後、1969年から2001年までの33年間は、連続して国内乗用車の登録台数1位であり続けた。

したがって今でもセダン&ワゴンの中では、販売が好調な部類に入る。高人気の理由は、5ナンバーサイズによるところが大きい。

新型カローラが3ナンバー車になると、従来型のユーザーが離れて売れ行きを下げる心配が生じる。

カローラはなぜ3ナンバー車になったのだろうか。

5ナンバーサイズに収めるか3ナンバー化か

カローラが好調に売れるのは、従来型からの膨大な乗り替え需要があるからだ。

ユーザーの多くは、運転しやすい5ナンバーサイズのボディに愛着を持つ。

走りの質を求めて3ナンバー化するか、取り回しの良さを優先させて5ナンバーをキープするか。苦渋の選択だったという。
走りの質を求めて3ナンバー化するか、取り回しの良さを優先させて5ナンバーをキープするか。苦渋の選択だったという。

3ナンバーサイズに拡大すれば、ユーザーが離れることも懸念されるため、開発の初期段階では新型カローラを5ナンバーサイズで開発することも検討された。

しかし開発者は「新型カローラを5ナンバーサイズに収まるプラットフォームで造ると、新しいセダン&ワゴンに相応しい走行安定性と乗り心地を得られませんでした」という。

従来型のカローラは、ヴィッツと共通のプラットフォームを使い、運転しやすい5ナンバーボディと広い室内を両立させていた。

その半面、走行安定性と乗り心地は高水準とはいい難く、新型の開発でも5ナンバーサイズでは不満が生じたわけだ。

そこで国内仕様のカローラも、海外仕様と同様、現行プリウスから採用が開始されたTNGAの考え方に基づく3ナンバーサイズのプラットフォームを使うことになった。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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