マツダ・ロードスター 「趣味車」なのに、30年間なぜ人気 開発者はどう考える?

公開 : 2019.09.30 12:10  更新 : 2019.09.30 17:08

2016年には、累計販売台数が100万台をこえたマツダ・ロードスター。2人乗りで、日常では不便なこともあります。が、なぜここまで売れ、愛されるのか。開発者に聞きました。

誰もが純粋に、走る楽しさを味わえる

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

1989年にまずはアメリカから「MazdaMX-5 Miata」として発売(5月)された初代ロードスター。

日本では同年8月に「ユーノス・ロードスター」として予約注文をスタート、9月1日から発売が開始された。

初代マツダ・ロードスター
初代マツダ・ロードスター

今でこそ型式名の「NA」を付けて「NAロードスター」や「初代ロードスター」などと呼ばれているが、当時はみんな「ユーノス」と呼んでいた。

ちなみに、「ユーノス」とはマツダが当時敷いていた5チャンネル販売制(他に「アンフィニ」「マツダ」「オートザム」「オートラマ」)の1つである。

ロードスターはユーノス販売店で扱われる第一号車だったので、ユーノスと言えばユーノス・ロードスターの事だった。

この後、ユーノス500、ユーノス・コスモ、さらにはシトロエンまでが正規販売されたが1996年にユーノス販売店は終了している。

デビューした1989年の5か月だけで日本では9307台、翌年は世界で9万3626台もの台数が販売された。2シーターのスポーツカーとしては異例の大ヒットとなったのである。

その後、モデルチェンジを経て2000年5月には「2人乗り小型オープンスポーツカー生産累計世界一(53万1890台)」としてギネス世界記録に認定されている。

その後もこの記録は更新を続けており、2016年4月には生産累計100万台を達成した。

ロードスターの大成功は世界の自動車メーカーにとって、大きな衝撃となった。

いわゆる「Miata SHOCK」である。

MGF、MG RV8、BMW Z3フィアットバルケッタメルセデス・ベンツSLKベンツ、ポルシェボクスターアウディTTロードスター……どれも、初代ロードスターに大いなる刺激を受けて誕生したクルマたちである。

開発者が考察 30年間愛され続た理由

ロードスターはデビュー以来、30年にわたってモデルチェンジを続けながら販売され続け、世界中で多くの人々に愛され続けてきた。

いまだに、初代ロードスターに乗り続けるユーザーも少なくない。

2012年、累計販売台数90万台達成時の山本修弘。
2012年、累計販売台数90万台達成時の山本修弘。

なぜこんなに長い間、愛され続けているのだろうか?

4代目NDロードスターの開発主査であり、ロードスターアンバサダーに就任しているマツダ商品本部の山本修弘(やまもとのぶひろ)に話を聞いた。

「ロードスターが誕生した89年には、ここまでこのクルマがたくさんの人たちに愛されるとは思っていませんでした」

「正直、こんなに売れるとは思っていなかったんです」

「ですが、結果的には世界中で爆発的なヒットになりました。それがなぜなのか? と考えた時に、クルマの走る楽しさを本当に体現したクルマであり、それを実際に運転した人を感動させたクルマだったという結論に達しました」

「『こんなに曲がるクルマがあるのか!』『こんなに気持ちよく走れるクルマがあるのか』という人々の純粋な驚きがあったのだと思います」

「人がクルマに乗って楽しい! と思う、シンプルな思いと感動がこの小さなクルマにいっぱい詰まっている。それをお客様は大事だと思ったのですね」

「私たちもそこがこのクルマの1番大事なところだとお互い理解しながら、最新の技術で次から次へと新しいロードスターを作り続けてきました」

「それが30年続いてきた。お客様の期待と私たちの思いがお互いにwin-winの関係になっているからではないかと思います」

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