世界500台限定のニュル仕様 ルノー・メガーヌRSトロフィーR 130kgの軽量化

公開 : 2019.10.06 09:50

乗り心地を帳消しにする操縦性と音響

改善値としては小さく、トロフィーと乗り比べてみなければわからないレベルだろう。そんな悪い乗り心地は、普通のクルマでは我慢できないはずなのだが、トロフィーRなら許せてしまうから不思議。他の部分の仕上がりは良好で、より低レベルなクルマで気になってしまうような部分が、トロフィーRにはないためだろう。

6速MTには手を加えていないそうだが、通常のトロフィーでは引っ掛かりを感じたものが減り、変速時の手応えも若干軽さを増したように感じる。凄まじいグリップ力を生むブリジストン・ポテンザS007からの情報は、アルカンターラの巻かれたステアリングホイールへしっかりと伝わってくる。

ルノー・メガーヌRSトロフィーR ニュルブルクリンク・レコードパック
ルノーメガーヌRSトロフィーR ニュルブルクリンク・レコードパック

アクラボヴィッチ製のマフラーが奏でる特別なサウンドを楽しむには、激しい加速が必要になる。低音域とエッジの効いた咆哮との入り混じった音響を与えたことも、素晴らしい考えだ。極めて速いが、このサウンドに聞き浸るために、一般道でパフォーマンスを発揮させたくなってしまう。

操舵時の印象的なまでの感覚の濃さに加えて、重み付けも素晴らしく、重すぎず軽すぎない、絶妙なバランスにある。ドライビングモードに関係なく、ステアリングフィールは素晴らしい。後輪操舵システムが省かれているが、それによってクルマの操縦性にも大きな改善が得られている。

後輪操舵がなくなったことで操作に対する反応に一貫性が出て、挙動の予想が遥かにしやすくなっている。グリップ力の凄まじいフロントタイヤの能力をしっかり引き出すことも可能となった。

全世界で500台限定

中速コーナーでは、スロットル調整でラインをタイトにしていったり、わずかにリアタイヤを流してリフトオフ・オーバーステア状態を楽しむこともしやすくなった。高速域での安定性が少なくなった印象もあるが、コーナーの続く道を刺激的に走り抜ける能力が高まったことを考えれば、トレードオフとしては歓迎できる。

もしルノー・メガーヌRSトロフィーRにニュルブルクリンク・レコードパックを付けたクルマが欲しくても、7万2140ポンド(959万円)という価格は意思決定にさほど影響を及ばさないかもしれない。リアシートがなくても、長距離運転に適していなくても、それを超える中身を備えている。

ルノー・メガーヌRSトロフィーR ニュルブルクリンク・レコードパック
ルノー・メガーヌRSトロフィーR ニュルブルクリンク・レコードパック

徹底的なハードコア仕様のホットハッチを目指して同じ金額を投じて仕立てても、ルノー・メガーヌRSトロフィーR以上に良くはならないだろう。気にするべきは、500台限定のうち英国に入ってくるのはわずか32台という事実の方だ。日本への導入もある模様。

さらにその32台のうち、オプションのブレンボ製ゴールド・カーボンセラミック・ブレーキが装着されるクルマはわずか2台で、1台は既に広報車に充てがわれている。出て間もないメガーヌRSながら、メガーヌRSトロフィーRは、選りすぐりのモデルなことは間違いない。

近日中にしっかり検証するロードテストも行う予定だ。

ルノー・メガーヌRSトロフィーR ニュルブルクリンク・レコードパックのスペック

価格:7万2140ポンド(959万円)
全長:4410mm
全幅:1875mm
全高:1435mm
最高速度:262km/h
0-100km/h加速:5.4秒
燃費:12.6km/L
CO2排出量:180g/km
乾燥重量:1381kg
パワートレイン:直列4気筒1798ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/6000rpm
最大トルク:40.7kg-m/3200rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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