リチウムイオンバッテリー 製造過程を実際に体験 基本構造は市販EV同等

公開 : 2019.10.12 05:50

EVの発展にともない、搭載されるリチウムイオンバッテリーの技術もどんどん進化しています。今回われわれは英国におけるバッテリー生産拠点を訪ね、小さなバッテリーセル作りに参加しました。小さくてもその基本構造は市販EVのものと変わりません。

英国のバッテリー生産工場を訪問

こんな機会はめったにない。今回われわれはEV用のリチウムイオン・バッテリーセルを自らの手で作る機会を与えられた。原材料は可燃性であり、普段は中を見ることもできないだろう。それに加え、英国でEVバッテリー研究の最先端を行く研究者に話を聞くこともできるのだ。

英国でバッテリーを素材から生産している拠点は2か所しかない。そしてそのうちの1つはウォーウィック・マニュファクチャリング・グループのプロトタイプ生産工場だ。今日のメンターはデイビッド・グリーンウッドだ。彼はバッテリー内部での電子やリチウムイオンの複雑な動きに精通している。今日はクランクシャフトにバルブ、ベアリングなどのことを忘れ、アノードとカソード、それにセパレーターやLiPF6電解液のことを考えよう。

グリーンウッド教授(左)
グリーンウッド教授(左)

われわれの任務は、WMGの設備を使って3.5Vの50mmx70mmのクレジットカードほどの大きさのセルを作ることだ。日産リーフジャガーIペースなどの市販車では、これらの小さなセルを組み合わせてモジュール化し、さらにそれらをつなぎ合わせてバッテリーとするのである。

内部の部品や設計はより大型のセルと同様で、リーフやテスラなどに使われているものと変わらない。テスラの18650ものセルは形こそ違うかもしれないが、そのコンポーネンツは同じなのである。

そのプロセスは大きく4つに分けることができる。まずはアノード、次にカソードを作り、パウチに封入した後にリチウムを含む電解液を加えるのだ。しかしこれを細分化すると11の工程を経る必要がある。今回のセッションは2時間程度を要するが、テスラのギガファクトリーなどでは1秒間に20セルもの生産が可能だ。さてグリーンのグローブをはめ、白衣を着て始めよう。

アノードを作る

1.アノードの材料を計量

ここで使われる電気化学的に重要な材料は、リチウムイオンを蓄えるグラファイトだ。粉末状で用意されており、その1つの粒子はわずか10ミクロンで人の髪の毛の5分の1ほどしかない。グラファイトは水をベースとする溶媒に溶かされ、炭素やラテックスの接合材と混ぜ合わされてどろどろした液体となる。

この炭素によりグラファイトは導電性を持ち、接合材は次のステップで登場する銅のバックプレートと接着する役割を果たす。同様のプロセスはカソード作りでも用いられるが、超高純度のニッケルは取り扱いが難しく、今回は触れることはできなかった。

2.アノードを混合

パン作りに似ているが、爆発のリスクも伴う
パン作りに似ているが、爆発のリスクも伴う

この重要なステップは、パンとチョコレートを混ぜるのにも使われる機材を用いて行われる。市販用のアノード原料は数百L単位で混合される。粉末、溶媒、接合材が均一に混ざったペーストを作るため、数時間を必要とする。

3.アノードのコーティング

ペースト状になったものを導体に貼り付け、グラファイトからリチウムイオンが出入りできるようにする。銅のシートに紙の半分ほどの薄さで塗り広げるのだ。アノードには銅が、カソードにはアルミニウムが用いられる。これはセル内のコンディションにより、カソードが溶け出すのを防ぐためだ。

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