長期テスト フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(8) 英国のGTDはディーゼル版GTI?

公開 : 2019.11.09 10:50

新しいゴルフが発表されましたが、まだまだ7代目ゴルフは現役です。誕生から40年が経過したゴルフは、今も世界最高のオールラウンド・ホットハッチなのかどうか、長期テストで検証していきます。

積算1万8000km インフォテイメント・システムの良さ

text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
トップグレードのインフォテイメント・システム、ディスカバー・ナビゲーション・プロには、ジェスチャー・コントロールが付いている。これまでかなりの期間乗っているが、使用したのは2回だけ。

1回目はいろいろ試していた時期で、もう1回は実践的に使ってみたものの、わたしには適さない機能だとわかった。音声認識機能とステアリングホイールの操作ボタンとの組み合わせが良いと思う。GTIにはどちらも付いているから、自分のような人間でも不満を抱くことはない。

 フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目

積算2万184km ディーゼルエンジンのホットハッチ

ディーゼルエンジンを搭載したホットハッチはどうだろう。トルクは太く、カタログ上の性能も優れているが、エンジン音は冴えないし、レブカウンターの半分も回せばパワー感は頭打ち。エンジンも重たいからシャープなハンドリングも期待ほどではない。

ディーゼルのゴルフGTDというモデルが英国には存在する。GTIを長期テストでドライブするようになり、街なかでGTIらしきクルマを意識して見るようになった。だが良くリアハッチを見ると、貼ってあるエンブレムはGTDということが間々ある。183psと38.6kg-mを発揮する2.0Lのディーゼル「TDI」を搭載するクルマだ。

 フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目

わたしが住んでいる英国南部では、ガソリンよりもディーゼルのホットハッチの方が人気なのかもしれない。今どき、ということか。そこで1週間、GTDに試しに乗ってみた。

ゴルフGTDはグランドツアラー

ドライバーがゴルフGTDを選択する理由に、ディーゼルは燃費で優れている、ということがあるはず。けれど普通に走らせた結果は、15.9km/L。公称値の21.2km/Lにはまったく届かなかった。長期テストのGTIの燃費は、平均で14.1km/L以上は出ている。

GTIほどホットな走りが楽しめるとも思えなかった。GTDに搭載されるトランスミッションは7速DSG。デュアルクラッチATだが、変速に気をもむ割にトップギアは選びたがらない。同乗した人も気づいていたが、発進停止が多い状況では低速度域でぎこちない。

 フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目

6速MTなら左手で上手に変速をこなし、燃料ももっと効率的に燃やせると思う。しかも楽しく。GTDからはGTI相当のドライビング体験を得られるのか。恐らくそれも難しい。

カーステレオのボリュームを上げれば、TDIのノイズは聞こえなくなる。コーナリング中のグリップは高い。適度に引き締まった乗り心地もGTIに近い。だが、ホットハッチと呼べるほどの操縦性は得られていない。見た目はほぼ同じでも、両者の性格はとても異なっている。

もっとペースを上げたいという熱意を、シャシーから受け取ることができないのだ。どちらかというと、グランドツアラーに近いものだと思う。長距離を高速で安楽に移動するためのゴルフだといえる。

ドレスアップされた速いディーゼル・ゴルフだ。もちろんゴルフとして求められる機能でもあり、多くの人が選ぶ理由でもあるのだろうと納得した。

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