新型ゴルフに乗ってみた VWゴルフ eTSI 8代目、着実な進化

公開 : 2019.12.01 09:50

熟成度が大きく高まった走行性能

8代目ゴルフの走行性能は熟成度が高まった。漸進的な操作性、バランス、正確性で磨き込まれている。特に操作に対するダイレクト感が強まった。7代目の穏やかだったクルマに慣れている人にとっては、少し驚きかもしれない。

運転を積極的に楽しみたいドライバーにとっては朗報だ。フォード・フォーカスやマツダ3などと伍するダイナミクス性能での魅力を備えている。

フォルクスワーゲン・ゴルフ1.5 eTSI
フォルクスワーゲン・ゴルフ1.5 eTSI

先にも触れたが、プラットフォーム自体は先代と同様。ベーシックグレードのサスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式となる。だが今回の試乗車、1.5 eTSIなどの上位グレードの場合は、リアがマルチリンク式になる。

標準ではダンパーは通常タイプだが、ダイナミック・シャシーコントロール(DCC)のオプションを選択すると、アダプティブダンパーも装備できる。エコ、コンフォート、スポーツ、インディビジュアルの4モードから設定が可能。

試乗車にはプログレッシブ・ステアリングが搭載されており、標準モデルの固定レシオは試せていない。だがその操舵感は非常に正確で直感的なもの。切り始めで特にクイックさを増しており、手のひらに伝わる情報量も明確に増えている。

フィードバックでは勝るライバルがあるものの、緻密な感覚があり信頼感が高い。コーナリングでの自信は一層高くなっている。

旋回時にアクセルペダルを踏み込んでいくと、徐々に遠心力が増えると同時に、前進方向への動きも増していく好印象な姿勢制御を披露。コーナー出口の早い段階で加速モードへと移っていけるから、楽しい以外の何ものでもない。

オプションのアダプティブダンパーの乗り心地も秀逸。路面の入力に素早く反応し、足回りの動きを吸収してくれるから、車内の上下方向の動きはとても穏やか。コンフォートモードではしなやかな乗り心地が味わえる。英国の傷んだ路面でも試してみたいところ。

ゲームを優位に運べる実力を維持

スポーツモードを選択すると、先代よりぐっと引き締められた印象。クルマのレスポンスを高めながらも、充分な柔軟性も保てている。ただし、コーナーリング中に鋭い起伏があった場合などは、アウト側のタイヤに強めの衝撃が生じることはあるようだ。

全体的に高められた機敏な身のこなしに、気づかない人はいないはず。加えて直進性も向上しており、高速道路での運転は安楽。ロングギヤでエンジンを静かに保てるうえ、空力特性も良くなったことで風切り音も大幅に小さくなっている。

フォルクスワーゲン・ゴルフ1.5 eTSI
フォルクスワーゲン・ゴルフ1.5 eTSI

ライバルの実力も向上する中で、ゴルフの優位性は以前ほど大きなものではなくなってきている。しかし8代目は、確実にゲームを優位に運べる力を付けてきた。

インテリアの質感やダイナミクス性能、コネクティビティも備えたデジタル技術など、需要な部分はしっかり引き上げている。マイルド・ハイブリッドを獲得した駆動系の洗練性や基本性能の高さに加え、シャシーは熟成され、あらゆるシーンでバランスの良い満足感の高い走りを味わわせてくれる。

フォルクスワーゲンの主張を信じるのなら、グレードを問わず、燃費や二酸化炭素の排出量も大きく改善しているはず。

1つ気になるところは、ほぼすべてがタッチモニター化されたインテリア。操作性は確かに優れている。だが若い層には受けても、多くのユーザーにとっては少し先進的過ぎるように感じられるかもしれない。

シンプルで明快という、伝統的なゴルフが重んじてきた特徴には少し反するように思うのだがいかがだろう。8代目がどう評価されるのか、これからが楽しみだ。

フォルクスワーゲン・ゴルフ1.5 eTSIのスペック

価格:未定
全長:4284mm
全幅:1789mm
全高:1456mm
最高速度:223km/h
0-100km/h加速:8.5秒
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:−
パワートレイン:直列4気筒1498ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:150ps/5000rpm
最大トルク:25.3kg-m/1500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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