雨天は手に負えないジャジャ馬 ギルバーン・シボレーGT(1) 小さなボディが包んだV8エンジン ホイールはF1用
公開 : 2026.04.04 17:45
英国で作られていたキットカー、ギルバーンのエンジンルームへ押し込まれたシボレーのV8ユニット。60年を経て現オーナーが見事にレストア。UK編集部が言葉を失う、過激なワンオフマシンとは?
もくじ
ー手強いコースで350psのV8マシンを駆る
ーマーコスやTVRなどのライバルになったGT
ーF1マシンのBRMでレースへ挑んだウィルソン
ーエンジンルームへ押し込まれたスモールブロック
ー濡れた路面では手に負えないジャジャ馬
手強いコースで350psのV8マシンを駆る
晴天で良かった。グレートブリテン島南西部、手強いカッスルクーム・サーキットの名物は、派手なコースオフ。車重1.0t当たりの馬力が350psに迫る、60年前のハンドメイド・スポーツカーを走らせるのだから、条件は優れた方が良い。
V8エンジンを積んだギルバーン・シボレーGTは、発案者のオーナーに駆られ、モータースポーツで輝かしい歴史を刻んだ。2台とない、ファクトリー・マシンといえる。

これを注文したのは、ギルバーンGT 1800へ搭載される、標準の4気筒エンジンへ納得しなかったケン・ウィルソン氏。当初は、古いオースチンA35から引き抜いた、998ccのAシリーズ・ユニットが動力源だった。
マーコスやTVRなどのライバルになったGT
ギルバーンという名の小さなメーカーは、ジャイルズ・スミス氏とバーナード・フリーゼ氏の2人によって、1950年代に創業。技術者のフリーゼは、ヒルクライム・レース用に、独自のFRPボディを被せた自作のスポーツカーを以前から提供していた。
カッスルクームから遠くないポンティプリッドという町で、肉屋を家業としたスミスは、自宅裏に小さなワークショップを準備。知人のレーシングドライバーへ協力を仰ぎつつ、充分な完成度を持つ2シーター・クーペのキットカー、GT Mk1を生み出した。

一体成型のFRP製ボディは、チューブラーフレームへリベットで固定。初期型はサスペンションもA35譲りで、リアはリーフスプリングが支えた。程なく、エンジンやトランスミッションの選択肢が増え、オプションでスーパーチャージャーも設定された。
実力は低くなく、一躍同クラスのマーコスやTVRなどのライバルに。ロータス・エリートを追い回せるほどコーナリングはシャープではなかったが、自動車雑誌のオートスポーツ誌は1960年5月に試乗し、まずまずの好評を与えている。
F1マシンのBRMでレースへ挑んだウィルソン
ギルバーンへGTを注文すると、塗装や配線が済んだボディとシャシー、新しいエンジン、ホイールが届けられた。半完成状態とすることで、品質の維持が図られていた。
数年後には、リアサスペンションがトレーリングリンク式になり、コイルスプリングを採用。MGB譲りの1.8L Bシリーズ・エンジンが選べるようになるなど、進化が続いた。

1960年代初頭に毎月1台程度だった生産数は、ワークショップの移転・拡大もあり、1965年には毎週1台へ拡大。従業員は20名に増えていた。ウィルソンが、ギルバーンへ接触したのもこの頃。速いレーシングカーを作りたい、という思いが叶うことになる。
彼は裕福な環境にあり、1964年には使い古しのF1マシン、BRM P48でスプリントレースへ参戦。大胆なドライビングスタイルが特徴で、クラッシュが多いことでも知られていたらしい。だが、失敗へくじけるタイプではなかった。
















































































































































