【ホンダ新EV量産版に初試乗】ホンダe アドバンス 航続距離220km 心に響くか

公開 : 2020.01.30 10:20  更新 : 2020.03.17 15:32

運転しやすい優れたシティカー

スマートフォンのミラーリング機能にも対応しているから、多くのユーザーはこちらも利用するだろう。HDMIの入力端子もあり、希望すればゲーム機をつなぐこともできる。ちゃんと、欧州仕様の場合は240Vの電源コンセントも用意されている。

駐車時に眺めるのにちょうどいい、バーチャル・アクアリウムを映し出すこともできる。子供を車内で短時間待たせておく場合などには、良いかもしれない。

ホンダe アドバンス(欧州仕様)
ホンダe アドバンス(欧州仕様)

この2面のタッチモニターの他に、ドライバーの正面にはメーター用のモニターが配置される。さらに車内の両サイドには、ドアミラーの代わりにドアから突き出たカメラの映像を表示するモニターが付いている。

小型のサイドカメラは、通常のサイドミラーより空気抵抗が小さく、モニターの取り付け位置もよく考えられている。天候が悪くてもカメラレンズには汚れが付きにくかったうえ、薄暗い時間帯でもとても鮮明な映像を映してくれた。

合計5面並んだモニターに慣れてしまえば、機能的で運転はしやすい。視界は良好で、アクセルペダルやブレーキの操作感はとてもスムーズ。

ボタン1つでワンペダル・ドライビングモードに切り替えれば、アクセルペダルを戻した際の減速率が高くなる。ステアリングのレシオはクイックすぎず、最小回転直径は8.6mと小回りも効くから、ホンダeはとても優れたシティカーだと実感する。

心が動かされて買うタイプ

郊外の道に出れば、良好な姿勢制御を保ったまま、穏やかに路面をこなしていく。車重は1514kgで、コンパクトなガソリンモデルであれば重い部類でも、EVの場合はそうでもない。

前後の重量配分は50:50で、バランスも良い。スポーティというわけではないが、操縦性には優れ、上質でリラックスした走りが楽しめる。

ホンダe アドバンス(欧州仕様)
ホンダe アドバンス(欧州仕様)

0-100km/h加速は8.3秒と悪くない。最大トルクは32.0kg-mで、加速開始と同時に発揮できるから、実際はもっと力強く感じられる。

一番気になる部分は、ホンダeが狙ったユーザーをどれだけ見つけられるのか。もし遠方まで自動車で移動したいのなら、ホンダeは目的に叶っていない。

既に英国では200件ほどの予約が入っているというホンダeだが、その殆どはロンドン中心部に住むドライバーだという。強気の価格と限定的な航続距離でも、問題ないエリアだといえる。

ホンダの関係者は、画面の大きなタブレットではなく、小さく機能的なスマートフォンだと考えてほしい、と話していた。理屈で考えて買うのではなく、心が動かされて買うタイプのクルマだと認めているようだ。

考え方は理解できるが、多くの共感者を得られるのか疑問が残る。ホンダeはとても好感触ながら、誰にでもオススメできるタイプではない。まずは好きになれるかどうか、そこからだ。

ホンダe アドバンスのスペック

価格:2万8660ポンド(409万円・政府補助金適用後)
全長:3894mm
全幅:1752mm
全高:1512mm
最高速度:144km/h
0-96km/h加速:8.3秒
航続距離:220km(WLTP)
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1514kg
パワートレイン:電動モーター
バッテリー:35.5kWh
最高出力:153ps
最大トルク:32.0kg-m
ギアボックス:シングルスピード

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