【450kmの持久力だけじゃない】キア・ソウルEV 好印象な走りとデザイン、乗り心地

公開 : 2020.03.11 10:20  更新 : 2021.03.05 21:36

一風変わった個性を放つクロスオーバーのキア・ソウルにEV版が登場。64kWhのバッテリーを搭載し、450kmの航続距離を誇示します。個性的なルックスに力強い走り、良質な乗り心地など、総合力も低くありません。英国で試乗しました。

英国ではすでに2000台の受注

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
キアのe-ニロが一般的なEVだとするなら、同じキアのソウルEVは、少し年上のカッコ良い親戚、といった関係かもしれない。まだ聞き慣れない、最新の洋楽を楽しんでいるような人物。

そう感じさせる理由がルックス。3代目へと生まれ変わったソウルは、先代同様のボクシーなフォルムのまま、車高は一段高められている。反面、先代ほどの若々しさは感じられなくなった。

キア・ソウルEVファースト・エディション(英国仕様)
キア・ソウルEVファースト・エディション(英国仕様)

おそらくヘッドライトが眠たそうな目に見え、フロントマスク全体の雰囲気としても活気を感じさせないからだろう。しかし、珍しいことに魅力的でもある。強い個性を感じさせるデザインで、アピール力は高い。

欧州では、ソウルは純EVのみでリリースされる。韓国や北米などの試乗には、ガソリンエンジンを搭載したクルマもラインナップする。英国では、補助金適用後の価格が3万3795ポンド(483万円)となる、ファースト・エディションが当面の間の選択肢だ。

1グレードに絞られたソウルEVだが、キアは仕上がりにかなり自信を持っている。すでに発表から2000台の受注があったという。e-ニロも8000台のオーダーを抱えている。

英国では、2019年の純EVの販売台数は3万8000台。2019年の12月から3月初めまでの間に、かなりの台数のEVを受注したといえるだろう。

最高出力203psによる活発な加速

EVとしては比較的手頃な価格と、充実した標準装備に加えて、航続距離はWLTP値で450kmを誇る。ルックスだけではなく、持久力も自慢となる。

搭載するバッテリーは、e-ニロやヒュンダイ・コナ・エレクトリックにも搭載される64kWhのリチウムイオン。フロントに搭載する203psの永久磁石同期モーターで、前輪を駆動する。

キア・ソウルEVファースト・エディション(英国仕様)
キア・ソウルEVファースト・エディション(英国仕様)

100kWの大容量高速充電器を用いれば、80%の容量まで1時間以内で充電できる。一般的な7.2kWの家庭用充電器の場合、満充電までに9.5時間を要する。

走行性能は、ワイルドと呼べるほどではないにしろ、力強い。最大トルク40.1kg-mと太く、50km/hから80km/hくらいまでの中間加速は活発。

80km/hを超えると、速度の上昇率は徐々に低下していく。だが高速道路の合流などをスムーズにこなすだけの加速度は得られる。

アクセルペダルの反応の良さも、ガソリンエンジン版のソウルと比べればシャープ。ただし、e-ニロと比べると、静止状態からの瞬発力はわずかに穏やかに設定された様子。路面によって、前輪が空転してしまうのを防ぐことが狙いだろう。

回生ブレーキの強さには4段階のセッティングが用意された。そのうちの1つはエネルギー回生が行われず、コースティング状態が保てるものもある。ステアリングホイールに付いたパドルを引くことで、回生ブレーキの強さを切り替えることができる。

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