【完璧・万能なスーパーカー】ポルシェ911ターボSへ初試乗 992型 650ps獲得 前編

公開 : 2020.04.10 10:20

スポーツカーの代名詞といえる最新のポルシェ911に、最強版のターボSが登場。650psというパワフルな新エンジンに加え、数多くの技術的なアップグレードが図られています。英国編集部がドイツ・シュツットガルトで初試乗しました。

992型に最強版のターボSが登場

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
自動車好きの多くの人は、ポルシェ911とターボという組み合わせに、長い間興奮してきた。ポルシェ911ファンに限らず。

初代ポルシェ911ターボが登場したのは1974年。スポーツカーとしてのパフォーマンスに、新しい基準を設定した。ターボチャージャー付きのフラット6と、誰もが目を奪われる巨大なウイングをまとい、今日まで語り継がれる伝説のモデルとなっている。

ポルシェ911ターボS(992型・欧州仕様)
ポルシェ911ターボS(992型・欧州仕様)

それ以来、基本的な構成は現在まで変わることはない。時代とともにフィロソフィーの変化はあったとしても。

初代の登場から半世紀近くが経とうとしている2020年、7代目になる992型にも、ポルシェ911ターボが追加された。2016年に登場した、先代の991型911ターボに置き換わるモデルとなる。

電動化技術を搭載するモデルも含めて、競合モデルは少なくないが、ゲームを支配する競争力を期待せずにはいられない。ターボに「S」が付く今回の試乗車。見た目は従来どおり金属質なソリッド感をたたえつつ、筋肉質でもある。

円形のLEDヘッドライトや、ボディ幅いっぱいのテールライトなど、992型らしい新鮮なディテールをまとう。だが明らかに、ボディラインは先代からの結びつきを見て取れる。

全幅はベースの911カレラより48mmも広げられ、かつてないほどにワイド。だが、992型は991型と同じプラットフォームを土台としており、ホイールベースは同じ2450mmとなる。

パワーウエイトレシオは396ps/t

アルミニウム製のボディは、中央が絞られたコークボトルのボディラインを際立たせるかのように、ホイールアーチ部分がふくよかになっている。フロントのトレッドで42mm、リアトレッドで10mm広い。

992型でもターボSには、ボディタイプはクーペかカブリオレが用意される。今回の試乗車はクーペだ。

ポルシェ911ターボS(992型・欧州仕様)
ポルシェ911ターボS(992型・欧州仕様)

ホイールは標準でフロントが20インチの9.0J、リアが21インチの11.5Jと、こちらもワイド。ボディサイズで比較すると、991型のターボSより28mm長く、20mm広い。全長は4535mm、全幅は1900mmとなる。

今までより4kgも軽量に仕上げられたコンポジットガラスを含めて、数多くの軽量化対策が盛り込まれているが、車重は40kg増しの1640kg。最新のデュアルクラッチATと、大径ブレーキ、それを包む大径ホイールを採用したことが主な要因だ。

空力性能も改善を受けた。991型にも採用されていた、改良版のアクティブ・フロントスポイラー・ダクトの採用に加え、新しいリアスポイラーを装備。

スポイラーは、スピードかパフォーマンスか、設定を変えられる。パフォーマンスを選ぶと、ダウンフォースは15%増しとなる。

991型までは、2009年の996型911ターボから採用されていた、3.8Lの水平対向6気筒を搭載していたが、992型は新型へとスイッチ。排気量を14%小さくしているが、馬力もトルクも、これまで以上に大きい。

ターボSの場合、最高出力は991型から70ps増強され、650ps/6750rpmを獲得。1L当たりの馬力は236ps、パワーウエイトレシオは396ps/tとなる。Sの付かないターボの最高出力はまだ公表されていない。

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