【いまどきの軽トラック】実質2車種の一騎打ち 突き詰めた開発 キャリイ/ハイゼット、乗ると違いも

公開 : 2020.05.18 05:50  更新 : 2021.10.22 10:15

軽トラック全体の2019年度の届け出は合計8万9356台。ミラ・イース/ミラ・トコットを上回ります。決められた規格で最大限の付加価値を提供するため開発者の強い思い入れも。形は似ていますが乗ると違いが。

軽トラック、商用車の販売比率が高い

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

2019年度(2019年4月から2020年3月)の新車販売状況を見ると、今は軽自動車が37%を占める。

特に商用車は、乗用車よりも軽自動車比率が高く49%に達した。

ダイハツ・ハイゼット・トラック
ダイハツ・ハイゼット・トラック    ダイハツ

軽商用車は日本の物流を支える欠かせない存在になっている。

そこで今回は、軽トラックに焦点を当てたい。

軽商用車には、エンジンを前席の下などに搭載する荷室の長いキャブオーバーバン、エンジンをボンネットの下に搭載する乗用車ベースのボンネットバン、そして軽トラックの3種類がある。

軽商用車の内で、軽トラックの占める割合は43%だ。

そして軽トラックは、各メーカーが用意するものの、他社に供給されるOEM車も多い。

したがって
1、スズキ・キャリイとその姉妹車
2、ダイハツ・ハイゼット・トラックとその姉妹車
3、姉妹車関係を持たないホンダ・アクティ・トラックで成り立つ。

この内アクティ・トラックは、2019年度の販売台数が10年前の69%まで下がり、ハイゼット・トラックの19%と低迷する。

そのためにアクティ・トラックは、2021年に生産を終える予定だ。

その後は実質的にキャリイvsハイゼット・トラックの一騎打ちになるから、この2車種を比べたい。

軽トラ台数>ミラ・イース/トコット

キャリイ(2019年度の届け出台数は5万9010台)は、OEM車の日産NT100クリッパー(9535台)、マツダ・スクラム・トラック(2473台)、三菱ミニキャブ・トラック(4024台)として供給される。

姉妹車すべてを合計すると、2019年度には7万5042台を届け出した。乗用車メーカー8社の内、製造するスズキを含めて4社が扱い、合計台数はワゴンRと同等だ。

ダイハツ・ミラ・トコット
ダイハツ・ミラ・トコット    神村 聖

ハイゼット・トラック(8万78台)は、スバルサンバー・トラック(5325台)、トヨタ・ピクシス・トラック(3953台)として供給され、2019年度の届け出は合計8万9356台だ。

ミラ・イース+ミラ・トコットを上まわる。

軽トラック OEM車が多いワケは?

軽トラックでOEM車が多い理由は、1台当たりの利益が少ない薄利多売の商品になるからだ。

アクティ・トラックが2021年に生産を終える理由も、新規に開発したのでは、採算を取れないことにある。

いい換えれば軽トラックは、製造コストに対して価格を抑えた買い得な商品と考えられる。

軽トラックが薄利多売になった理由は、ユーザーが優れた実用性と安い価格を求め、軽乗用車以上に競争が激しいためだ。

キャリイで最も安いKC(5速MT)は73万5900円、ハイゼット・トラックスタンダード/エアコン・パワステレスは69万3000円(5速MT)になる。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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