【ルノーF1チーム代表インタビュー】激しいプレッシャー 勝負は2022年シーズン 新レギュレーションが復活のカギ

公開 : 2020.05.17 20:50

ルノーF1チームのトップ、シリル・アビテブールにインタビューを行いました。昨シーズンはパワーユニットを供給するマクラーレンの後塵を拝したことで、激しいプレッシャーにさらされている彼ですが、新レギュレーションがルノー復活のカギを握っているようです。

もくじ

つねに激しい批判
ルノーチームの未来
すべてが望む方向に
電動化には反対
エクレストンへの批判
新レギュレーションがカギ

つねに激しい批判

text:Damien Smith(ダミアン・スミス)

最近放送されたテレビのインタビューで、プレミアリーグのワトフォードで監督を務めるナイジェル・ピアソンは、プレミアリーグ監督としての生活を「楽しみたい」と話しており、スタジオにいたひとびとも、まさにその通りだと言わんばかりの笑顔を浮かべていた。

だが、つねに激しい批判にさらされる仕事をどうやったら楽しむことなど出来るのだろう?

アビテブールはルノーF1代表として5年目のシーズンを迎えることになる。
アビテブールはルノーF1代表として5年目のシーズンを迎えることになる。

究極のパフォーマンスが求められるスポーツに楽しみなどあるのだろうか?

ルノーF1をふたたびトップチームに押し上げるという任務を託された人物に、その役目を楽しんでいるかと質問すると、彼は思わず顔いっぱいに笑顔を浮かべそうになった。

彼を有名にしたネットフリックスのドキュメンタリー番組「Drive to Survive」に出演したときよりも、シリル・アビテブールは穏やかな表情を見せているが、中止となったものの2020年シーズンの開幕戦、オーストラリアGPを1週間後に控えたこの時点で、彼には無駄にする時間などなかったはずだ。

われわれの質問にも丁寧に答える彼だが、本当はこうしたインタビューに対応しているような状況ではない。

「F1とは上手く行っている時には素晴らしいスポーツだと言えますが、上手く行っていない時には悪夢です」と、彼は残念そうに話す。「でも、それはどんなスポーツにも言えることでしょう」

アビテブールにはその「悪夢」がどんなものかよく分かっている。

2001年にルノーチームへと加わったこのフランス人が、初めてF1のチームマネジメントで悲哀を味わったのは、短命に終わった資金不足な小規模チーム、ケータハム(かつてのロータスだ)にヘッドハントされた2012年のことであり、チームが消滅する直前の2014年シーズン中盤にはふたたびルノーへと復帰している。

ルノーチームの未来

ルノーが本格的なファクトリーチームとしてF1に復帰した2016年以来、マネージングディレクターとしてチームの舵取りを行ってきたアビテブールだが、これまで勝利の美酒を味わうことはおろか、ポディウムに上ることすら出来ていない。

2018年シーズンにはトップ3に次ぐコンストラクターズ4位の座を確保したものの、昨年はパワーユニットを供給するマクラーレンを下回る5位という残念な結果に終わっている。

ダニエル・リカルドがルノーF1チームに加わったものの、昨年は厳しいシーズンとなった。
ダニエル・リカルドがルノーF1チームに加わったものの、昨年は厳しいシーズンとなった。

「残念という以外に言葉が見つかりません」と、2019年シーズンについてアビテブールは話す。

「3年間成長を続け、ダニエル・リカルドもチームに加わったことで、さらなる躍進を遂げるはずでしたが、勢いを失ってしまいました」

42歳のアビテブールはF1ではもっとも若いチーム代表であり、エンジニア出身というよりもまるで生粋の経営者のような印象を抱かせる。

F1新世代のひとりであり、メーカー直系のチーム代表として、F1とその将来、そしていま方向性を見失っているとも言われているルノーチームについて、自らの見解を披露できる立場でもある。

まずはルノーチームについて話を聞いてみた。

2010年のように、いまだ未勝利のチームをふたたびルノーが売却するのは時間の問題だと言われている。

いまやその名声は失われたものの、F1には好意的だったカルロス・ゴーンから、ルカ・デ・メオにルノー会長が交替することもこうした見方を助長している。