【いすゞ製エンジンの前輪駆動】2代目ロータス・エラン 英国版中古車ガイド

公開 : 2020.06.02 10:20  更新 : 2021.07.12 18:46

ロータスは後輪駆動、という伝統を打ち破った2代目エラン。新車当時は大成功とは呼べなかったものの、中古車となった今では、魅力的なオープンスポーツとなっています。英国編集部が注意すべきポイントを解説します。

FFが故に人気の伸びなかった2代目

text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)

 
2代目ロータスエランは、英国製スポーツのシンデレラと呼んでも良いかもしれない。お姉さんのエリーゼは脚光を浴びる中で、2代目エランはずっと下積みを積んできた。

1960年代に登場した初代は、伝説的ともいえる存在となった。他方、1989年に登場したM100と呼ばれるエランも、れっきとした2シーターのロードスターだ。

ロータス・エラン(2代目M100型・英国仕様)
ロータス・エラン(2代目M100型・英国仕様)

ところが偶然にも同じ年に、マツダMX-5(ロードスター)が登場。タイミングが良くなかった。

皮肉なことに、マツダ・ロードスターも初代エランから多くのヒントを得ていた。縦置きのフロントエンジン・リアドライブレイアウトを採用している。一方のM100は、横置きエンジンの前輪駆動。

スポーツカーの純粋主義者は、動揺を隠せなかった。だが実際に試乗してみると、不安を良い意味で裏切ってくれた。

2代目エランも、高剛性のスチール製バックボーン・シャシーに、軽量なコンポジット製ボディをまとっている。ロータスの基本レシピといって良い。違った点は、ゼネラルモーターズ(GM)から資金提供を受けていた点。

当時のGMは、いすゞ社の株式も所有していた。結果、2代目エランへは日本製の信頼性に優れた、1.6L 4気筒エンジンが搭載されている。ロータスが大きく手を加え、自然吸気とターボチャージャー付きが選べた。

自然吸気は130psを発生させ、ターボ付きは165psを獲得。SEというグレード名が与えられ、人気も高かった。発売当初は自動車雑誌の評価も良く、売り上げは堅調だった。だが、長くは続かなかった。

見た目は魅了させるほどとはいえず、生産コストも高く付いた。横置きの前輪駆動が足を引っ張り、人気が加速することはなかった。

日本製エンジンのおかげで信頼性は高い

GM傘下時代のエランはシリーズ1と呼ばれ、ブガッティがロータスを買収した後の1995年以降に作られたシリーズ2とは区別される。ブガッティは在庫エンジンの存在を知ると、2代目エランを再生産したのだ。

S2のM100型エランは、ハンドリングが若干シャープになっていた反面、触媒の追加で最高出力が158psへとわずかに落ちている。珍しいS2の方が、台数の多いS1よりもプレミアムが付いている。とはいえ、状態を優先した方が良い。

ロータス・エラン(2代目M100型・英国仕様)
ロータス・エラン(2代目M100型・英国仕様)

在庫エンジンがなくなったところで、エランS2の生産も終了。その後、さらに韓国キア社がモデル生産の権利を買い取り、韓国市場へわずかな数を供給した。

生産終了から時間が経つが、GMの資金力といすゞ製エンジンのおかげで、今でも状態を保っているエランが多い。注意したい点はあるものの、もし良好なクルマを見つけたのなら、きっと楽しい相棒になってくれるだろう。

英国なら、状態の良いエランでも、1万2000ポンド(159万円)ほど出せば手に入る。中古のエリーゼなら、スターティング・プライスといえる価格帯だ。

7500ポンド(99万円)から1万ポンド(133万円)くらい出せば充分。エンジンオイルとフィルター交換を済ませる程度で、ほとんど手間いらずのエランを運転できるだろう。

今後エランの価格は上昇するのか。ロータスの専門家、ビンセント・ヘイドンによれば、エリーゼの価格が上昇する限り、エランの価格も吊られると考えている。

だが、長期間放置されていたクルマを、高額費用を投じてレストアすることには否定的。まだ新型エランは登場していないが、復活の噂は存在している。

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