【詳細データテスト】 ベントレー・フライングスパー F40と同等の加速 期待以上のハンドリング 快適性には注文あり

公開 : 2020.07.25 11:50

結論 ★★★★★★★★★☆

新型フライングスパーは高級サルーンだが、その精神と、おそらく基本的なメカニズムは、スポーツカーのそれだ。ハンドリングのよさと走りのハードさは、この手もクルマのオーナーを満足させるには十分、と思うレベルの上を行く。

その能力の幅はめざましく、称賛に値する。だがしかし、小さいながらも高級車としては明らかな不足を指摘しなくてはならない。単なるふんわりとした乗り心地の高級車以上のものを目指したクルマに対する評価としては、フェアなものではないように聞こえるかもしれないが。

結論:走りの魅力ではライバルを圧倒する。しかし、あらゆる項目でそうだったわけではない。
結論:走りの魅力ではライバルを圧倒する。しかし、あらゆる項目でそうだったわけではない。    OLGUN KORDAL

それでも結局、速さやそうした目的は、なによりもまずはよりよいサルーンであるべきだという存在意義を凌ぐものではない。それは2005年に、フライングスパーの名が蘇ったときから同じことだった。

走りはもう少しスムースで洗練されていなくては。荒れた路面の影響はもっと遮断して、上品な乗り心地にしてほしい。もうちょっと、高級車の本文を重視してもらいたかった。

シャシーに最新のテクノロジーを導入し、走りはベントレーが狙った水準を大きく外すことなく仕上がった。それでも、走りのレベルがいくら高いとはいえ、この車にかけているものを看過ごすことはできないのだ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

ベントレーの社内筋によれば、ミュルザンヌ生産中止の決定以前に、このクルマの大筋が決まっていたという。個人的には、どちらも同じようなクルマだと思っていた。トラディッショナルさの具合と、走り志向のドライバーに好かれるか否かの違いだけで。

サイモン・デイヴィス

低いルーフラインと太いピラー、そして狭いリアウインドウは、サイドビューの強い自己主張を演出する。だが、後席をちょっとばかり閉所恐怖症に陥りそうな空間にしてしまってもいる。ひどいほどではないが、気にならないほどでもない。

オプション追加のアドバイス

フライングスパーのコンフィギュレーターをいじっていると、楽しすぎて数時間くらいすぐに経ってしまう。とはいえ、本当に購入するとなれば、ミュリナーのパッケージオプションは選び、22インチホイールはやめておきたい。ネイム製のハイエンドオーディオは試してみたいところだ。

改善してほしいポイント

・セカンダリーライドの遮断性は、さらなる改善の余地ありだ。
・リアシートの座面を低くすれば、ヘッドルームにもう少し余裕が生まれるだろう。
ポルシェパナメーラターボS Eハイブリッドと同じ680ps版パワートレインを積む、スピードハイブリッド仕様を設定すればおもしろいのではないか。

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