【コンパクト・スポーツ3台の1番を選ぶ】M2 CS x 718ケイマンGTS x A110 S 前編

公開 : 2020.09.12 11:50  更新 : 2021.05.13 12:00

F87型M2の最終形となる、BMW M2 CS。高い評価を得ている、ポルシェ718ケイマンGTSやアルピーヌA110 Sと並んだとき、一般道で最も楽しいスポーツカーはどれなのでしょう。英国編集部が評価しました。

モンスター級のBMW M2 CSと並ぶ2台

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ピクサーのアニメ、モンスターズ・インクは、観たことのある読者も多いはず。今回の比較試乗は、そんなイメージだ。

ドアから顔を覗かせる、長い毛で覆われたブルーの大きなモンスター。小さなグリーンの1つ目モンスターと一緒に、こちらを覗き込む、アレだ。

ポルシェ718ケイマンGTS 4.0/BMW M2 CS/アルピーヌA110 S
ポルシェ718ケイマンGTS 4.0/BMW M2 CS/アルピーヌA110 S

ポルシェ718ケイマンGTS 4.0と、アルピーヌA110 Sの隣に、新しいBMW M2 CSを停める。筆者には、そのブルーのモンスター、サリーとイメージが重なってしまう。色は灰色で、BMWのエンブレムが鼻先に付いているが。

その横に並ぶのが、黄緑色のマイク・ワゾウスキー。ケイマンの方は、色も同じ。モンスターたちが、ここに揃ったらしい。

今回の比較は、小さいものと大きいものとの対決でもある。BMWが生み出した、最もコンパクトなMは、ステロイド剤で肉体改造されたかのように、CSへと姿を変えている。

筋肉質で堂々とした佇まいは、競合するミドシップ・スポーツカーを圧倒するよう。より小さく、軽く、低いミドシップを持ってきても、最高のドライビング体験を約束してくれる、FRのM2に分があるように思える。

MディビジョンがM2へ与えたパワーとノイズ、太いタイヤは、敏捷性の高いモデルへ対峙するため。718ケイマンGTS 4.0やA110 Sとは、対極的ともいえる。

この3台を直接比較し、勝者を決める。筆者にとっては、難解な試乗になりそうだ。古い親友へ、久しぶりに会ったようでもある。以前にそれぞれ会った記憶はあるものの、お互いにどこかよそよそしい。

理想的なケイマンのドライビングポジション

通常、AUTOCARの比較試乗では、1台は真新しいモデルが含まれている。だが今回は、3台ともに何度か取り上げられている。どんな展開になるのだろう。

1台づつ見ていこう。アルピーヌA110は、3年前の発売以来、称賛を集めてきた。ところが昨年導入された、より強力なA110 Sは、グループテストでの成績があまり奮わない。A110の方は、勝利を挙げているのだが。

ポルシェ718ケイマンGTS 4.0(英国仕様)
ポルシェ718ケイマンGTS 4.0(英国仕様)

以前の試乗レポートでは、グリップとパワーが高まったことで、天才ミドシップとしての輝きに陰りがでていた様子。A110には、必要としないものだったのだろうか。

新しいポルシェ718ケイマンGTS 4.0の方はどうだろう。ジュニア・スポーツカーに、ポルシェはフラット6を復活させた。パフォーマンスカーの階級付けが、再び整った。

ポルシェもアルピーヌも、運転せずして、その味わいを予感できる。個性が濃い。

ケイマンのドライビングポジションは、ほぼ理想的。ドライバーの正面中心にきれいに並び、足を伸ばせ、着座位置は低い。

シートもステアリングホイールも、必要なだけ位置調整ができる。ただし試乗車の場合、座面の長さ調整はなし。ランバーサポートも不足気味ではあった。

アルピーヌA110 Sのドライバーズシートは、標準のA110の記憶より、ヒップポイントが高くコンパクト。背もたれが固定式の、サベルト製シートのせいかもしれない。筆者の身長ではルーフが頭に近すぎる。ヘルメットを快適に被れないほど。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記