【運転の楽しさは随一】 オースチン/MG/ローバー・メトロ 英国版クラシック・ガイド

公開 : 2020.09.20 07:20  更新 : 2020.12.08 08:38

メトロの中古車 購入時の注意点

1989年まで、A+エンジンは有鉛ガソリン仕様だった。無鉛ガソリンで、3000rpm以上の回転域まで頻繁に回していると、1万6000kmほどでバルブシートがだめになる。

多くは無鉛ガソリン仕様に変更を受けている。まだの場合でも、英国なら250ポンド(3万4000円)程度で変更が可能だ。

オースチン/MG/ローバー・メトロ(1980年〜1989年/英国仕様)
オースチン/MG/ローバー・メトロ(1980年〜1989年/英国仕様)

Aシリーズは傷んでもオイルがにじむ程度だが、Kシリーズは定期的な手入れが不可欠。タイミングベルトは6年毎か、9万6000kmでの交換が望ましい。冷却系の調子も常に確認しておきたい。

Kシリーズ・エンジンは、仕様が無数に存在する。SOHCとDOHC、8バルブと16バルブ、キャブ仕様のほか、シングルポイント(SPi)やマルチポイント(MPi)のインジェクションもある。

その中でもMPiは最も動力性能で秀でていた。104psを発揮し、AUTOCARのテストでは初代マツダMX-5(ロードスター)に迫るラップタイムを残している。

エンジンオイルやクーラントの状態は、こまめに確認しておく。ヘッドガスケットの交換は自分でも簡単だが、作業は難しい。交換の際、ヘッド研磨もしておきたい。整備さえ怠らなければ、Kシリーズでも30万kmくらいは普通に走る。

AP社製のATを警戒する人もいるが、基本的には信頼性が高く、感触も良い。当時としては評価が高かった、CVTも選べた。

ハイドラガスのメンテナンスが、長期的な課題ではある。少なくとも今のところ、多くの部品が英国では安価に入手可能な状態にはある。

不具合を起こしやすいポイント

ボディ

錆はメトロのアキレス腱。リア・サブフレームのマウント、サイドシル、リアフェンダー、車内の足元、ルーフ後端、テールゲートのヒンジ、窓ガラスの周囲、ドアやテールゲートの下部などは錆びやすい。またリア・サブフレームも、錆びるポイント。

エンジン

アップデートを受けたAシリーズエンジンは、基本設計は古くても評価が高かった。滑らかでトルクがあり、燃費も優れている。劣化してくると、オイル漏れやノッキング、吸気の乱れなどが生じる。

オースチン/MG/ローバー・メトロ(1980年〜1989年/英国仕様)
オースチン/MG/ローバー・メトロ(1980年〜1989年/英国仕様)

続いて登場したKシリーズも優れていたが、冷却系の不調でヘッドガスケットを傷めることがある。走行距離が多いなら、エンジンオイルは指定の1万9000kmより早いタイミングで交換したい。

冷却系

経年劣化でラジエター内が汚れ、腐食が進行することがる。ウオーターポンプも交換しておきたい。

Kシリーズのエンジンでは、パイプ類や吸気マニフォールド周りからクーラント漏れすることも。オーバーヒートを招き、ヘッドが変形したり、ガスケットが吹き飛ぶ。

サスペンションとトランスミッション

ハイドラガスのパイプが腐食し圧力が落ちると、車高が下がり乗り心地も悪くなる。ガスの補充は比較的簡単。ハイドラガスのディプレーサーは、状態の良い中古部品と交換できる。新しい部品はもうない。

ワイドレシオな設定で、4速MTは1990年代まで採用され続けている。

インテリア

アップライトな運転姿勢になるが、シートは形状に優れる。年式によって改良が加えられているが、後期モデルではリアシートの空間が犠牲になっている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

オースチンの人気画像