【5か月だけの豪華仕様】シトロエン2CV AZAMエキスポート ルノーR4に対抗 前編

2020.10.25

サマリー

さまざまな仕様が存在したシトロエン2CVですが、特に高級に仕立てられたモデルがAZAM。さらに数か月のみが作られたのが、 AZAMエキスポートです。ルノーR4に対抗するために生まれた、貴重な1台をご紹介しましょう。

もくじ

ルノーR4に対抗するために生まれた
ボディやインテリアに追加された沢山の装飾
アミ6用のパーツを上手に活用
ディアーヌと2CVのコンビ体制

ルノーR4に対抗するために生まれた

text:Jon Pressnell(ジョン・プレスネル)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
ラグジュアリーなシトロエン2CVと聞くと、違和感を覚えるのは筆者だけではないだろう。だが、目の前に止まっている2CVは、そんな1台。わずか数か月だけ製造された、とても貴重なクルマだ。

実用的な大衆車として誕生した2CVを、なぜシトロエンは着飾ったフランス人形のように仕立てたのだろうか。その経緯は、さほど複雑なものではなかった。

シトロエン2CV  AZAMエキスポート(欧州仕様)
シトロエン2CV AZAMエキスポート(欧州仕様)

1961年、シトロエンのライバルだったルノーは、R4を発表する。日本ではキャトルと呼ばれ、親しまれていたクルマだ。

ライバルの登場後も、シトロエン2CVの売上は想定通りに続いた。しかし1963年になると、ルノー4Rの販売台数が逆転する。郊外のドライバーから、都市部へと市場を移しつつあったルノー。シトロエンにとっては、大きなインパクトがあった。

4CVやドーフィンから4Rへと進化した、新しいルノー。街乗りのクルマとしても、強い訴求力を持っていた。より良い動的性能を備えるだけでなく、1ランク上の、上質なスタイルで乗ることもできた。

それをつぶさに見たシトロエンは、1963年3月にAZAMを発表する。425ccへ排気量が増やされた、改良版の2CVだ。

機械的な部分は、基本的に通常の2CVと同じ。空冷の水平対向2気筒エンジンは、18psを絞り出した。トランスミッションは4速MT。オプションで遠心クラッチが選べた。

それ以上に、沢山の豪華装備が準備されていた点がキモ。AZAM最大の強みだった。

ボディやインテリアに追加された沢山の装飾

ボディ周りに付けられたのは、ステンレス製のフロントガラス・フレームに、フロントガラスやリアドア・ガラス用の明るいトリム、ポリッシュ・アルミのボンネット装飾、ステンレス製のオーバーライダー、半円形のドアハンドルなどなど。

ヘッドライトにはクロームメッキのリングが付き、ワイパーアームもクロームメッキ加工が施された。ブレーキライトもAZAM用の特別品。足元は、シトロエン・アミ6用のハブキャップが引き締めた。

シトロエン2CV AZAMエキスポート(欧州仕様)
シトロエン2CV AZAMエキスポート(欧州仕様)

インテリア周りで大きな違いを生んだのが、アミのようなシートだ。上質なクロスで仕立てられ、フロントはスライド可能なベンチ・タイプ。スタイリッシュなステアリングホイールが、ドライバーを迎えてくれる。

ほかにも、黒色のロックハンドルやインテリアライト、ミラー付きの助手席側サンバイザーなどが付く。ステアリングコラムには、ウインカー用のレバーが伸びた。

1964年12月、2CV名物だったリアヒンジのスーイサイドドアは、一般的なフロントヒンジ・タイプへと変更。1965年、ほかの2CVと同様にAZAMでも片側3枚窓の6ライト・ボディへと改められた。ラジエター・グリルも新しいデザインになっている。

等速ジョイントを備えるドライブシャフトが、AZAMでは標準装備となった点も特長。挙動の乱れを抑え、操縦性を引き上げた。今回ご紹介する2CV AZAMエキスポートにも、この仕様は継続採用されている。

 

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