フェラーリ365 GT4 BB/512 BB(2) フルスロットルのゴージャスな響き 腰痛や耳鳴りとは無縁

公開 : 2025.05.02 18:06

ミウラを意識したフェラーリ初のV12ミドシップ・スーパーカー、365 GT4 BB F1譲りのV型12気筒ティーポF102A 巧妙なパッケージングへ唸る車内 腰痛や耳鳴りとは無縁 UK編集部が3台で振り返る

フルスロットル時のゴージャスな響き

フェラーリ365 GT4 BBのステアリングホイールはドライバー正面に位置し、奇妙な角度で伸びているわけではない。速度が上昇すれば、驚くほどダイレクトなフィーリングが待っている。

背もたれが倒れたシートはスポーティ。ペダルは、ホイールアーチを避けるよう右側へオフセットしているが、ランボルギーニカウンタックより運転姿勢は遥かに自然だ。ルーフは近いが前方視界は広く、後方も充分目視できる。

レッド・ツートーンのフェラーリ365 GT4 BBと、ゴールド・ツートーンのフェラーリ512 BB
レッド・ツートーンのフェラーリ365 GT4 BBと、ゴールド・ツートーンのフェラーリ512 BB    マックス・エドレストン(Max Edleston)

クラッチペダルが重く、発進は少し苦労するものの、オープンゲートのシフトレバーを動かすのはひたすら楽しい。今回の車両は走行距離が6万6000kmと長いが、変速感は3台のベスト。軽くスライドでき、メカニカルなノイズを伴う。

アイドリング時の迫力は相当なものだが、発進加速にそこまでの勢いはない。低域では5速MTの唸りが大きい。過程にフラットスポットがあるものの、最大トルクを得られる3900rpmへ迫ると、V12エンジンのサウンドで覆い隠される。

中域以上のパワー感は素晴らしい。100km/hを超えても、一心不乱に速度を高めていく。4基のトリプルチョーク・ウェーバーキャブレターが混合気を送り、フルスロットル時の響きはゴージャスそのもの。見た目への期待通りに。

フロントスポイラーとNACAダクトを獲得

強化される排気ガス規制を満たしつつ、パワーを維持するため、フェラーリは1976年にV12エンジンのストロークを延長。複数の改良も実施された。これを受け、モデル名は一新。シリンダーの排気量ではない、新ルールが採用された。

512 BBは、5.0Lで12気筒、ベルリネッタ・ボクサーの略。最高出力は365psと、僅かに低下していた。しかし最大トルクは増大し、特性もフラット化され、0-97km/h加速は5.4秒から5.1秒へ短縮している。

フェラーリ512 BB(1976〜1981年/欧州仕様)
フェラーリ512 BB(1976〜1981年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ボディは、張り出したフロントスポイラーを獲得。リアフェンダーには、NACAダクトが開けられている。高速域でのリフトとリアブレーキのフェードという、365 GT4 BBで指摘された弱点へ対処するために。リアデッキのデザインも変更された。

ゴールド・ツートーンのフェラーリ512 BBで真っ先に気付くのは、クラッチペダルが軽いこと。ツインプレート・クラッチを採用し、左足の負荷を大幅に軽減している。

4基のキャブレターが載った、エンジンの咆哮はほぼ同じ。運転体験も、大きくは違わない。ペダルが大型化し、足もとの空間は若干狭く感じられるが、胸のすくような加速は共通している。

安定性が高く、アウトバーンでの巡航も、ワインディングでの旋回も余裕でこなすはず。ボディロールも僅かに抑えられている。ただし、低域では若干一貫性に欠けるかもしれない。スタイリングに合わせて、スプリングはもう少し引き締めても良いだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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