【V8ミドシップへ一新】シボレー・コルベット vs ポルシェ911 C8 進化度合いに驚く 後編

公開 : 2021.01.31 11:45  更新 : 2022.08.08 07:34

67年の歴史で初めて、ミドシップへ生まれ変わったコルベット。欧州で最高のスポーツカーの1台、ポルシェ911と比較し、その実力を確かめます。

手によく馴染む精密工具のよう

text:Matt Prior(マット・プライヤー)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
最新のC8シボレーコルベット・スティングレイで高速コーナーに侵入すると、緩やかなアンダーステア傾向にあることがわかる。アクセルペダルを軽く踏んだ状態でも。

だが特筆すべきは、その敏捷性と、ステアリングホイールの感触や正確性の高さ。今までのコルベットでは経験したことのないレベルにある。ステアリングのリムがスウェード風の素材で覆われていることも、好感触にしている理由の1つだろう。

シボレー・コルベット・スティングレイとポルシェ911カレラ
シボレー・コルベット・スティングレイとポルシェ911カレラ

C8コルベットの備える豊かな感触と、ドライバーとの一体感は秀逸。ドライバーが、ドライバーのために開発したスポーツカーのようだ。これまでのマッスルなコルベットでは、得られていなかった部分。手によく馴染む精密工具のよう、とはいいすぎだろうか。

乗り始めは、992型のポルシェ911より魅力的に思えたほど。しかし最新のポルシェ911も、過去に例がないほど磨き込まれている。

インテリアの設えは素晴らしいし、ドライビングポジションにも非の打ち所がない。細部の仕上げに至るまで上質で、実際の走りにもその印象が展開している。他に例を見ないほど、洗練されている。

ベースグレードであっても、サーキットでの身のこなしは極めてタイト。C8コルベットと同様に、フロントに荷重が載っていないと少しアンダーステアが出る。だが常にステアリングはリニアで、適切な重みがあり滑らか。

最新のポルシェ911は完璧なスポーツカー

リアタイヤを不安定な状態に持ち込んでも、優れたバランスで楽しめる。まるで、リアアクスルの後ろにエンジンが載っていないかのように。

最新のポルシェ911は、徹底的に研ぎ澄まされ、信頼できる。これまで生み出されてきた911のように、完璧なスポーツカーだと思う。

ポルシェ911カレラ(英国仕様)
ポルシェ911カレラ(英国仕様)

一般道での911はあまりにも滑らか。見事すぎて、スポーツカーではなく、上級なスポーティ・クーペにでもなったかのよう。これを上回るのは、メルセデス・ベンツSLくらいかもしれない。

恐らく最新のポルシェ911のようには、最新のコルベットは一般道で振る舞えないだろう。比較的滑らかな路面を抜けて、サーキット内のガソリンスタンドへ向かった時の印象では、走行時の洗練性や快適性では911に匹敵しないと感じた。

それでも、C8コルベットは思い切り楽しい。ドライバーのすぐ後ろには、6.2LのV8が宿っている。多少の乗り心地の差など、気にする必要はない。

新しいシボレー・コルベットは、英国でも広く受け入れられるはず。GMは乗用車の売れ行きが振るわず、欧州のほか、右ハンドル市場から撤退している。しかしコルベットには右ハンドル車を用意し、英国での販売価格を2020年の夏に発表した。

英国では8万1700ポンド(1143万円)から。日本では1180万円からとなっている。

GMのオフィシャルディーラーとして英国では唯一のイアン・アラン・モータースによれば、すでに200台近い注文が入っているとのこと。ほかにも、関心を寄せている人は大勢いるという。

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