【スコットランドを480km】ポルシェ・タイカン4S 最高得点に再試乗 AUTOCARアワード2021  前編

公開 : 2021.06.17 11:55  更新 : 2021.06.18 13:21

旋回時の質量を完璧に制御できる

加速は瞬間的。どんなにレスポンスの鋭いエンジンでも、真似はできないだろう。アクセルペダルのストロークの30%くらいでも、気持ち悪くなるほどの加速を生む。

さらに、それ以上に横方向へ掛かるGが半端ない。息を呑むほどの直線加速を披露する純EVは、少なくない。しかし、タイカン4Sほど旋回時に質量を完璧に制御できるクルマは他に思い浮かばない。

ポルシェ・タイカン4S(英国仕様)
ポルシェタイカン4S(英国仕様)

ミシュラン・パイロットスポーツ4Sが生む強力なグリップ力と、トルクを自在に可変させる四輪駆動システム。それに後輪操舵が組み合わさり、連携し、2295kgという車重を感じざせないほど扱いやすい。

10分も運転すれば、能力の高さを明確に感じ取れる。640km、2日間の旅で、さらなる領域へ迫れるだろう。アバディーンシャー地方への道端に、「山から海までスコットランドのベスト」と記された案内看板が立っていた。

2kmも離れていない場所には、グレンシーのスキー場もある。雪の溶けたゲレンデでは、リフトが冬の到来を待っている。ロッジのカフェは1年中営業しているが、5月の今はひっそりと静まり返っていた。

出発して間もなく、雨が振り始めてきた。濡れた路面でも、四輪駆動システムが頼もしい。谷間にあるブレイマーの街を通過する。ここでは、帰りに休憩を取る予定。

ティー川に沿って東へ進む。王室が避暑地に使うバルモラル城の横を抜けて、北のトミントゥール方向を目指す。途中、長い湿原を走り、峠を越えた。景色はグレンシーほど壮観ではないものの、道は空いている。思いのままに運転できる。

ポルシェのタンクを満たす金額としては破格

タイカン4Sの航続距離は、実際の走行距離以上に速いペースで短くなる。積極的に運転しているから、当然のことだ。

休憩するには早いとはいえ、残りの電気で走れる距離は130km。予定の宿泊場所、バンフの街より手前で一度充電することになりそうだ。

ポルシェ・タイカン4S(英国仕様)
ポルシェ・タイカン4S(英国仕様)

シングルモルトで有名なハイランド地方に入ると、道は狭くなり、交通量が増える。グレンリヴェット、バリンダロック、グレンファークラスといった蒸留所が点在している。

多くを見送り、われわれが立ち寄ったのはクライゲラキの街にあるデュワーズ蒸留所。DC充電器が設置してある、このエリアでは貴重な場所だ。

今回の旅行の準備として、ハイランド地方の充電器を利用するために、RFIDカードを準備した方が良いと知人からアドバイスを受けていた。申請から2週間後、出発直前に届いたカードがなければ、充電器のロックは解除できなかっただろう。

クライゲラキに設置されていたのは、50kWの急速充電器。比較的短い時間で充電できるものの、サンドイッチとコーヒーの休憩を兼ねて、50分間つないでみた。蓄えられた電気は38kWhで、料金は11.03ポンド(1690円)。

ポルシェのタンクを半分詰める金額として考えれば、かなり安い。筆者の経験では一番。

スペイ渓谷に沿うようにA95号線を北上。道路は混雑していて、ペースは上がらない。タイカンのもう1つの側面を確かめる機会だ。穏やかに流している時の上質さは、圧倒的なパフォーマンスと同じくらい印象深い。

この続きは後編にて。

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