【詳細データテスト】マセラティ・クアトロポルテ エンジンは秀逸 明確な剛性不足 運転環境も不備が

公開 : 2021.08.14 20:25  更新 : 2021.09.05 19:09

結論 ★★★★☆☆☆☆☆☆

クアトロポルテ・トロフェオには、好ましいところもある。しかし、明らかな欠如や短所があることを考えると、ドイツや英国の非常に魅力的なライバルたちと真っ向勝負になるものではなく、おすすめしがたい。

絶対的なパフォーマンスと優れたエンジン、そしてサルーンらしい居住性に関しては、競合モデルに負けていない。ただしそれ以外の点では、クラス水準からかなり劣っている。

結論:V8エンジンはすばらしい。しかし、1800万円級の速い4ドアに期待するものは、ほとんど持ち合わせていない。
結論:V8エンジンはすばらしい。しかし、1800万円級の速い4ドアに期待するものは、ほとんど持ち合わせていない。    MAX EDLESTON

乗り心地はかなり快適だが、洗練性には疑問を覚える。パフォーマンスサルーンに期待するようなハンドリングの俊敏さやらしさ、運転への没入感はほとんどない。まったくないと言ってもいい。キャビンのクオリティや車載テクノロジー、操縦系のエルゴノミクスについては、1000万円を優に超える高級車に求めるレベルには程遠い。

このトロフェオは、モデル末期にあるクアトロポルテのオーダー数を一時的に引き上げるかもしれない。だが、マセラティブランドの評価を再び引き上げ、ポルシェメルセデスAMGアルピナBMWの購買層を取り込めるようなものではなかった。

もちろん、われわれとしては今後のMC20のテストがマセラティにおける本命で、今回のトロフェオは前菜にすぎないのだが、それでももっとよくできていることを期待していた。寄り道せずに、いきなり本命を連れてくればよかったかもしれない。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

フルサイズ高級車のマーケットは、この10年かそこらでなんらかの技術革新を見せてきた。それに早い段階からすっかり取り残されてしまったのがマセラティだ。次期クワトロポルテが生き残るには、現行モデルよりかなり先進性を高めたクルマになることが求められる。

マット・ソーンダース

20年ほど前のマセラティは、じつに魅力的なブランドだった、と個人的には思う。ジャガーのワイルドさをちょっと増して、ラテン的にしたような印象だった。それが今や、欧州のユーザーの好みに合うところを見出しにくいものになってしまった。MC20がその状況を変えてくれることに期待するばかりだ。クアトロポルテ・トロフェオは、それができなかったのだから。

オプション追加のアドバイス

3190ポンド(約44.7万円)のドライバーアシスタンスパッケージ・プラスと、1585ポンド(約22.2万円)のバウワース&ウィルキンス製サラウンドオーディオはほしいところ。また、ショーファードリブンで使うなら、2045ポンド(約28.6万円)の4ゾーンエアコンも追加したい。

改善してほしいポイント

・サスペンションとステアリングに最新テクノロジーを用いて、走りのバーサタイル性を高めてほしい。
・マテリアルのリッチさと細部にこだわったキャビンの質感が足りない。
・右ハンドル化でオフセットがひどくなったドライビングポジションを修正してもらいたい。

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