【英仏のプライド戦】ルノー16 オースチン・マキシ 5ドア・ハッチバックを比較 後編

公開 : 2021.08.21 17:45

1960年代に誕生した、ルノー16とオースチン・マキシ。似たフォルムながら、評価も売れ行きも大きく異なった2台を、英国編集部が振り返ります。

コーリン・チャップマンにも影響を与えた16

執筆:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
撮影:Max Edleston(マックス・エドレストン)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ルノー16が積む、1470cc 4気筒プッシュロッドの最高出力は当初60psもなく、最高速度は980kgの車重ながら144km/h。しかし積極的に滑らかに回る。シトロエン風にボンネット内にスペアタイヤが搭載され、4速MTがエンジンの後ろに組まれた。

ちなみにコーリン・チャップマンは、ヨーロッパのミドシップ・レイアウトを、このルノー16に見出したらしい。

ホワイトのオースチン・マキシ1750と、ダークブルーのルノー16 TL
ホワイトのオースチン・マキシ1750と、ダークブルーのルノー16 TL

発表から2年後、ルノー16はエンジンのバルブ構造と吸気系統を見直し、大幅にパワーアップ。TSグレードを投入する。排気量もわずかに増え、最高出力は84psを獲得、最高速度は160km/hを超えた。

改良が重ねられる一方で、1980年の生産終了までコラム・シフトは変わらなかった。フランス初生産となるATが選べるようになったのは、1960年代後半から。5速MTが登場するのは1973年、4灯ヘッドライトのTXからだ。

今回ご協力いただいたリチャード・アレンは、1967年以来、ルノー16を愛用している。電子技術者としてのキャリアを終え、普段乗っているのは1970年代初頭に作られた5速MTのTS。取材した2台目のTLも、レストアして大切にしている。

一方、オースチン・マキシを愛するポール・スタンレーは、長年の自動車業界を経て、現在は金融の分野で活躍している。スタンレーはオースチンとともに成長し、今も1750を2台所有しているという。

本日お持ちいただいたホワイトのマキシは、ハイドロラスティックではなく、アレグロ風のハイドラガス・サスペンションを搭載する1750。1978年式で、走行距離は驚くほど短い。

記憶以上にルックスが良く見えるマキシ

マキシと16の2台を見比べてみると、容姿へ惹かれるのはダークブルーに塗られたルノーの方。くびれたリアウインドウと、ルーフから伸びる控えめに立つフィンが特徴だ。しかし、マキシも筆者の記憶以上にルックスが良い。

車高は低めで、ホイールアーチがボディの四隅に切られている。ルノーと同じくらい個性的で、実用用的に見える。マキシの車内は広々としていて、パッケージングとしては成功している。5番目のハッチバック・ドアは、発売直前に追加された。

ルノー16 TL(1964〜1980年/英国仕様)
ルノー16 TL(1964〜1980年/英国仕様)

やや丸みを帯びたテールゲートの開口部は低く、荷室面積も大きい。リアシートはフラットにでき、足もと空間にも余裕がある。ルノー16のリアシートの背もたれは、上方に跳ね上がるのが面白い。

16の車内は、リボンタイプの横に長いスピードメーターの周囲を、フェイクウッドのパネルが埋める。不思議とフランス車らしい。中央に付くヒーターは小さな給湯器のようだ。

マキシのダッシュボードは、ウッドパネルで覆われる。寝かされたステアリングホイールの位置は、ミニっぽい。

シートにはヘッドレストがなく、背もたれは低め。安全性はともかく開放的で、全方向に視界は良好。活発に一生懸命働いてくれている、ポジティブな印象がある。

Eシリーズ・エンジンはトルクも充分。音楽性に欠けるサウンドには、やや粗さがある。トランスミッションからもメカノイズが唸る。マキシはどこか懐かしい。

5速MTのギア比は良く、状況を問わず上手に対応できる。感触は良くないものの、その気になれば素早く変速も終えられる。

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