【エキサイティングな10年を予見】キアEV6 プロトタイプへ試乗 航続距離505km

公開 : 2021.09.03 08:25

まったく新しい純EVのSUV、登場間近のキアEV6へ英国編集部が試乗。試作車ながら完成度は高く、10年の大進歩を実感させる仕上がりのようです。

ヒュンダイ・グループのE-GMPを初採用

執筆:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
キアの新しい純EV、EV6の注目度はまだ高くないようだ。キアは電気自動車のモデルラインに、ID.やEQ、アイオニックといったサブブランドを与える予定はない。それも影響しているのだろう。

純EVに関するサブブランドや用語が増え、複雑さを増していることから、可能な限りシンプルな名前を選んだとキアは説明する。確かにEV6の名称に複雑なところはない。凝った名前へ時間を割かず、EV6はクルマとして重要な部分へ力が注がれている。

キアEV6 プロトタイプ
キアEV6 プロトタイプ

EV6が基礎構造とするのは、ヒュンダイ・グループが開発した純EV専用プラットフォームのE-GMP。キアとしては初採用となり、通常以上に期待も大きい。

「(EV6は)われわれが表現したいと考える、ショーケースのようなものです」。と、キアの欧州向けモデルを取り仕切るショード・ニッピングは自信を伺わせる。

「E-GMPを土台とする初モデルとして、EV6は非常に深く練られています。10年後には、ブランドを変えたモデルだったと、EV6は語られるでしょう」

EV6には、その発言くらい大胆な内容が与えられている。駆動用バッテリーをフロアに並べる、スケートボード・アーキテクチャの特性を活かしながら。

電動システムは電圧800Vという高性能なもので、最大350kWの急速充電に対応。この数字に韓国車として見覚えがあると感じたのなら、それは正しい。ヒュンダイ・アイオニック5と共有するシステムだ。

ボディサイズもアイオニック5と近似する。かといて、アイオニック5のキア版というわけでもない。

スポーティでパフォーマンス重視のキア

「クルマとして近いため、プラットフォームを共有しただけに過ぎません。スケールメリットを活かすうえで、共有すべき技術が多くあることは確かです。しかし、デザインやモデルのポジショニングでは、2台は完全に異なります」

「共有に関しては、ヒュンダイ・グループが解決すべき課題です。しかし、差別化を図った好例と呼べるモデルに仕上がったと考えています」。笑顔でニッピングが説明する。

キアEV6 プロトタイプ
キアEV6 プロトタイプ

ヒュンダイ・グループの中では、スポーティでパフォーマンス重視のモデルラインが目指されているキア。イメージチェンジの流れを作ったのは、スティンガーGTだった。EV6も同じ路線が目指されたようだ。

例えば、アイオニック5がフォルクスワーゲンID.4のライバルなら、EV6はID.4 GTXなどがライバルに当たるといえる。とはいえルックスは、アイオニック5とは別物。ボディにはキアの新しいデザイン言語が与えられ、ロゴも最新のものを身に着けている。

デザイナーのルク・ドンカーヴォルケは、クラシックなイタリアン・ラリーカーにかなり思いを寄せているのだろう。EV6にも、それがほのかに香る。

アイオニック5は、ランチア・デルタに似た雰囲気を持つ。一方のEV6は、ストラトスをインスパイアさせると筆者は感じた。特にウェッジシェイプのボディラインから。

EV6は中型のクロスオーバーだ。全長4695mmで、全高は1550mmある。ホイールベースは2900mmと長い。ちなみにアイオニック5は、3000mmに設定されている。

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