【機敏なシャシー、活発なエンジン】ミニ・コンバーチブル(2) 長期テスト 乗り心地に不満

公開 : 2021.09.26 09:45  更新 : 2021.12.09 16:01

登場から7年が経過し、アップデートを受けたミニ・コンバーチブル。楽しさは変わらないままなのか、英国編集部が長期テストで確かめます。

積算5149km ハチの侵入にはご用心

執筆:Kris Culmer(クリス・カルマー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
筆者はオープンカーの運転も、気温の高い日も好き。ミニ・コンバーチブルを、毎日心から楽しんでいる。今まで急な雨に振られたことも、鳥の糞を掛けられたこともない。

だがある日、ミニのステアリングホイールにミツバチが止まった。幸いにも、駐車場を出ようとした直前。走行中だったら、少し慌てていただろう。

ミニ・コンバーチブル・クーパーS エクスクルーシブ DCT(英国仕様)
ミニ・コンバーチブル・クーパーS エクスクルーシブ DCT(英国仕様)

積算6038km 楽しむ条件はスピードではない

筆者は以前まで、英国南部に住んでいた。以前はロンドンの北にあるワトフォードを拠点とするサッカーチーム、ワトフォードFCの悪口のような歌を口にしたこともある。

その影響というわけではないが、ワトフォードのさらに北部にある、ピーク・ディストリクト国立公園を訪れたこともなかった。先日までは。

ミニ・コンバーチブル・クーパーS エクスクルーシブ DCT(英国仕様)
ミニ・コンバーチブル・クーパーS エクスクルーシブ DCT(英国仕様)

実際に訪れてみたら、とても美しい場所だった。緑豊かで、切り立った山々が連なり、広い渓谷が幾筋もある。泥炭の沼地のそばに、放牧される羊たちが群れを作っていた。

古い鉄道が残り、カーブが連続する道が美しい村々を巡るように伸びる。石壁のコテージが点在し、街路樹も目に鮮やか。都市部で暮らす人々の気持ちを、程よく鎮めてくれる。

周辺の道路のスピードは控えめだが、町外れでは短いながらも97km/hまで出せる区間もある。英国では、郊外の一般道での最高速度だ。だが、多少ゆっくりでも構わない。

コーナリングを楽しむ前提条件は、通過スピードではない。入り口から出口までの、質感がすべてといって良い。

機敏なシャシー、活発なエンジン

先日筆者は、ミニ・コンバーチブル・クーパーSに友人と乗り、ノッティンガムからピーク・ディストリクト国立公園を目指した。

コンパクトなコンバーチブルのボデイに、機敏なシャシー、正確で重み付けの良いステアリング、力強いパフォーマンスという組み合わせを、存分に堪能できた。まるで1960年代の、アルファ・ロメオ・スパイダーのように。

ミニ・コンバーチブル・クーパーS エクスクルーシブ DCT(英国仕様)
ミニ・コンバーチブル・クーパーS エクスクルーシブ DCT(英国仕様)

迫ってくるコーナーに合わせて、適切な速度へ調節する。そのままミニは素直に頂点を目指し回頭し、出口の接近とともにパワーを与える。

ミニの走りでしばしば使われる、ゴーカート・フィーリングという表現は、筆者はあまり好きではない。カートに乗った経験があればわかると思うが、シャシーはまったく洗練されていない。それは、ミニには当てはまらない。すべてではないが。

新生ミニ・ブランドの特長ともいえる、操縦性は本当に見事。路面が多少濡れていても、その輝きは失われない。

ATをマニュアル・モードにし、ステアリングホイールに取り付けられたシフトパドルで必要なギアを自ら選べば、運転は一層楽しさを増す。コーナーのきつさや求める加速力に、ドライバーが関与できる。

残念だったのは天候が安定せず、ソフトトップを開けられた時間が短かったこと。遠くには霧がかかり、雨が降ったり止んだりだった。まあ、緑を美しくするうえで必要なことではある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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