【「SUV=4WD」信者は時代遅れ?】増える「2WDのSUV」 設定されるワケ

公開 : 2021.10.03 05:45  更新 : 2021.10.13 12:01

4WD 雪国の消費者のため?

雪国の人はSUVかどうかを問わず、4WDを選ぶ傾向が強い。

本格オフローダーと違って道なき道を走ることなど想定もしていないトヨタプリウス」や「アクア」にも、現行世代になって4WDが設定された。

スバル・フォレスター
スバルフォレスター

その理由は雪国の消費者へむけたアプローチに他ならないのだ。

雪国における4WDは、滑りやすい雪道での保険と考えればわかりやすい。

雪道を走ってみれば、発進時にタイヤが空転しにくい4WDのメリットは誰もが実感できることだろう。滑りやすい降雪路面(とくにアイスバーン)への備えなのだ。

逆に考えれば、4WD比率の高い日本においても一般的なレベルで考えれば雪の上を走るユーザーでなければ4WDは必要ない。保険を掛ける必要がないからだ。

正確にいえば悪路走行をするのであれば雪道は走らなくても4WDが欲しくなるが「悪路を走る人が世の中にどれだけいるのか?」という話である。

実はそういった消費者の傾向はSUV大国のアメリカにもいえる。

アメリカは郊外に出て幹線道路から離れると未舗装路があり、ときにはダートも存在。

SUVが好まれるのは「そこを走る時に最低地上高に余裕があれば便利だから」という声もある。

また日本同様に降雪地域では4WDのニーズも増えている。

しかしながら、極悪路を走るために4WDを求める人はそう多くないのだ。

2WDのSUV 誰のために?

では、2WDのSUVを買うメリットはどこにあるのだろうか。

まず前提としていえる(これはメリットではない)のが、SUVが流行しているということ。

トヨタ・カローラ・クロス
トヨタ・カローラ・クロス    トヨタ

それまでのセダンやハッチバックの感覚でSUVを買うのであれば、SUVだからといって4WDを選ぶ必要などまったくないだろう。

SUVは2WDであっても背の低いクルマより最低地上高を高く確保しているから、雪道が走りやすいのも魅力。

深く積もった雪や、除雪して道端に積み上げられた雪に足元をすくわれてスタックするリスクが減る。

たとえ4WDでなかったとしても、背の低いクルマよりは安心だ。

加えて、日常での使いやすさもある。

道路と駐車場の境目などにある細かい段差を気にしなくてもいいし、クロスオーバーモデルであれば着座位置が適切で乗り降りしやすいのもメリットだ。

また、4WDに比べると車両価格が安い、燃費がいい、車両重量が軽く収まるので舗装路での走りが軽快、という長所もある。

2WDのSUVにもしっかりと美点があるのだ。

「2WDのSUVは何のためにあり、誰が買っているのか?」と問われれば、答えは「多くの人にSUVを提供するためであり、大多数の人はSUVでも4WDではなく2WDを選んでいる」となる。

それでも「4WDじゃないSUVなんて認められない。クルマとはそういうものだ」と信念を貫く人もいるかもしれない。

そういう人を否定する気はないし、時には世間に流されないという強い信念だって必要かもしれない。

ただし、4WDを選ぶと車両価格が高くなるほか、2WDに比べると駆動系の抵抗によるパワーロスや車両重量増があって燃費や動的性能が悪くなるという弊害があることもお忘れなく。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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