メルセデス・ベンツ・アクトロス 2545 全長15m トレーラーの運転に挑戦 後編

公開 : 2022.01.21 08:26

ブレグジットの影響で英国はトラックドライバー不足が深刻。英国編集部が、トレーラートラックの運転に挑戦しました。

12.8L 6気筒ディーゼルのトレーラーヘッド

インストラクターのアリ・コルクホーン氏によるデモ走行を終えて、筆者がメルセデス・ベンツ・アクトロスのステアリングホイールを握る。だがHGV 2の免許もないため、エクスペリエンス・センター内のゾーン13と呼ばれるエリアに運転は限られた。

アクトロス・シリーズで一番小さい、総重量18tのトラックに乗り、一般的な操作系の動きを体験する。ボタンを押してエンジンを始動し、ステアリングコラムのレバーにあるスイッチをDまで回し、エア・パーキングブレーキを解除する。

メルセデス・ベンツ・アクトロス 2545と筆者
メルセデス・ベンツ・アクトロス 2545と筆者

アクセルペダルに触れると、トラックが発進した。トランスミッションは9速のAT。コラムから伸びるシフトレバーで、ドライバー自らもギアを選べる。変速時はワンテンポおいて、次のギアにつながる。

ステアリングホイールは巨大だが、手のひらには驚くほどの情報量が伝わる。予想していたほど、ステアリングラックのレシオはスローではない。シフトダウンしていくと、現代のスポーツモデルのように、エンジンの回転数が自動的に調整される。小気味良い。

さて、これは単なる序の口。今回の本幕はフルサイズのトレーラートラック。アクトロス 2545と呼ばれる、巨大なトレーラーヘッドを運転することが目的だ。

荷物を積むトレーラーを含めた全長は15mで、全幅は2.5m。エンジンは12.8Lの直列6気筒ディーゼルターボを搭載し、450馬力を発揮する。トランスミッションは12速ATが組まれている。

無我夢中のトレーラートラックの運転

運転席からの眺めは、今まで乗っていたアクトロスと基本的に同じ。だが筆者がステアリングホイールを操作すると、後方に伸びたトレーラーが蛇行する様子が見える。不安は隠せない。

これまで自動車の運転免許を取得してから40年、様々な乗り物を運転させてもらってきた。だが、トレーラートラックの練習になるようなクルマは、1台もなかった。自分の空間認識能力を全開にし、コーンが並んだエリアにトレーラーを進める。

メルセデス・ベンツ・アクトロス 2545(英国仕様)
メルセデス・ベンツ・アクトロス 2545(英国仕様)

トレーラーヘッドとトレーラーが逆に動くことを体験できる、テストを模したレイアウトが用意してあった。将来的には、コルクホーンのようなインストラクターが、ライセンス取得の指導をすることになるという。

果たして、トレーラートラックの運転は無我夢中だった。1つ目の課題は、トレーラーが停まっている隣の区画へ、平行にバックで侵入すること。指定された距離内で終える必要があり、コーンに触れてはいけない。

次の課題は、コーンで区画された仮想の積載エリアにバックでトレーラーを着けること。エリアの端から75cm以内に、トレーラーの後端を寄せる必要があるという。

馬用の小さなトレーラーは牽引したことがあり、トレーラーを狙った向きにバックさせるには、トレーラーヘッドを反対向きに曲げなければならないことは理解している。しかしこのトレーラーは長く、動かせるエリアも限られている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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