自家用車にも納得の能力 フォード・レンジャー・ストームトラックへ試乗

公開 : 2022.02.17 08:25

間もなくモデルチェンジするフォード・レンジャー。プレミアムな最終限定仕様を英国編集部が評価しました。

英国の市場シェアは42%を占める

現行のP375型フォード・レンジャーは、発売から12年目を迎えた。モデルチェンジが控えているが、その最後まで、英国で最も売れているピックアップトラックの地位を譲ることはなかった。

2021年、レンジャーが英国で売れた台数は1万7830台。ピックアップトラックのシェアでは42%にも達する。日産ナバラに三菱L200、フォルクスワーゲン・アマロックの販売が終了したという理由もあるが、感心するほどの割合だ。

フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ストームトラック(英国仕様)
フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ストームトラック(英国仕様)

ちなみに、英国では商用バンのトランジットも、そのクラスでは最も多売。フォードにとっては、悪くない2021年だったといえる。

そんな現行型のラストを締めくくるべく、英国フォードはレンジャーに特別仕様を4種類用意した。MS-RTリミテッドにラプター・スペシャル、ストームトラック、ウルフトラックという名称が付けられている。

フォードによれば、ウルフトラックは優れた快適性と使い勝手、オフロード性能を求める、屋外での作業に従事する人へ向けたタフなピックアップトラックだという。そんな条件にぴったり、という読者もいらっしゃるだろう。

一方のストームトラックは、アクティブな仕事やライフスタイルをサポートする、突出した能力と装備、個性的なスタイリングを備えたプレミアム・ピックアップだと説明している。今回の試乗車は、こちらだ。

強みと呼べるドライビング体験

売り文句は置いておいて、ウルフトラックは基本的にはレンジャー XLTがベース。アクセサリーを取り付けられるパイプが、荷室に搭載されている。見た目は、グレーの塗装にマットブラックのグリル、17インチアルミホイールなどでコーディネートしてある。

他方、ストームトラックは特別なレッド塗装で仕上げられたダブルキャブ。フロントグリルに赤いアクセントが入り、LEDヘッドライトにボディキット、トノカバーやブラックのリアバンパー、ステッカーなどで差別化が図られている。

フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ストームトラック(英国仕様)
フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ストームトラック(英国仕様)

レンジャーが英国で人気を保ってきた理由の1つは、手頃な価格設定と、フォードから購入する上でのメリットなどがあった。だがそれだけではなく、ドライビング体験も強みと呼べるものだった。

カタチはピックアップトラックだが、実際に運転した印象は、少し古い大きなSUV。乗り心地と操縦性が、明らかにライバルより優れている。ハンドリングに定評のあるフォードとして、レンジャーにもしっかり力が注がれている。

荷台が空の状態では、重量配分がフロント寄りになり、リアが跳ねて落ち着きがなくなる。しかし荷物を積んだり人を乗せれば、簡単に改善する。

エンジンは商用車的な2.0L 4気筒ディーゼルターボだから、正直いって静かではない。それでも荷物が満載でない限り、充分パワフルに感じられる。カタログ燃費は10.6km/Lとされている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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