高速道路なら快適 レクサスES 300h Fスポーツへ英国試乗 サスの調和が欲しい

公開 : 2022.02.18 08:25

Dセグメント・サルーンとして、5シリーズやEクラスと対峙するES。フェイスリフト版を英国編集部が評価しました。

フェイスリフトで内外をアップデート

メルセデス・ベンツEクラスBMW 5シリーズと欧州で対峙する、レクサスES。ライバルたちのモデルチェンジやフェイスリフトへ対抗するべく、モデル中期のフェイスリフトが施された。

スタイリングの変化は、前後バンパーなどが中心で非常に軽微。並べてみないと気付きにくい程度だが、以前からESの見た目はシャープでハンサムだったから、大きく手を加える必要はなかったのかもしれない。

レクサスES 300h Fスポーツ(欧州仕様)
レクサスES 300h Fスポーツ(欧州仕様)

レクサスお馴染みの大きなフロントグリルの両サイドに、3眼のLEDヘッドライトが与えられ、眼光が鋭い。インテリアでは、実際に押せるハードボタンを残しつつ、12.3インチという大きなタッチモニターが与えられた。

少々扱いにくい、トラックパッドも残っている。他とは違う、レクサス流のインターフェイスなのだとは思うが、これはそろそろ引退でも良いかもしれない。

内装部品の品質を見直し、組み立て精度を高めたとも主張されている。もともとレクサスのインテリアは、折り紙のようにタイトだった。それが向上したというのだから、かなりの自信なのだろう。

運転支援システムもアップデートを受けている。車線維持支援システムなどの機能を拡張し、ステアリングの自動修正をより滑らかにしたという。

調和感の足りないサスペンションとシャシー

シャシーにも改良が施された。主に動的能力と快適性を高めることを目的としている。リア・サスペンション・ブレースの剛性を高め、アダプティブダンパーのアクチュエーターを更新。ステアリングとサスペンションの、リニアな感触の獲得が目指された。

筆者はレクサスの乗り味やモノづくりが、基本的には大好きだ。独自の道を切り開き、更に良くしようと努めている。

レクサスES 300h Fスポーツ(欧州仕様)
レクサスES 300h Fスポーツ(欧州仕様)

シャシーの仕上がりにも期待がかかるところだが、明確な効果は得られていないように感じた。フェイスリフトを受けたESにも、その独自性は備わっている。それでも、BMW 5シリーズの優れた印象にまでは及んでいない。

特に気になるのが乗り心地。舗装が傷んだ路面を通過してみると、シートとサスペンションの動きが食い違うように調和できていない。タイヤからの入力をサスペンションが処理する一方で、他の部分は別の周期で揺れているような印象を受けてしまう。

ダンパーで路面を均す仕事を理解できていないように、落ち着きに欠ける。ワダチを斜めに横断するような場面では特に。

シート自体は、スウェーデンのボルボや、かつてのサーブのように、ソフト志向が強くコンフォート。乗り心地を補完してはくれるものの、一般道ではレクサスへ期待するほどの平穏さは得られない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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