マツダCX-5は、どう変わったのか? マイナーチェンジで特別仕様車を拡充 試乗で検証

公開 : 2022.02.13 20:45  更新 : 2022.02.13 21:27

マツダCX-5は、改良のタイミングで特別仕様車のラインナップが増えました。改良点、制御の進化を、試乗して確かめましょう。

フィールドジャーニーの登場

先代CX-5はプラットフォーム、パワートレインなどの全身にスカイアクティブ・テクノロジーを展開した「フル・スカイ」第一弾として登場。

スカイアクティブ・テクノロジー自体はマツダ新世代設計の総称であり、魂動デザインと人馬一体同様に“思想” “哲学”のようなものだが、新しい時代や提案を期待させるモデルだった。

改良新型マツダCX-5に加わった特別仕様車「フィールドジャーニー」
改良新型マツダCX-5に加わった特別仕様車「フィールドジャーニー」    宮澤佳久

二代目となる現行車はオンロード志向の魂動デザインと人馬一体をSUVに展開。マツダらしいSUVとして誕生したのだが、MCでは方向性を多少変えている。

MC以前からその流れはあったが、4WD制御を改良した悪路踏破性の改善をするなど、SUVの標準的な魅力の向上を図っていた。

このMCでは更にSUVの魅力をアップグレードし、その象徴となるモデルとして特別仕様の「フィールドジャーニー」をリリース。

全モデルに採用されたMiドライブも、フィールドジャーニーのみオフロードモードを備える。

なお、他4WDモデルも従来から採用されているオフロード・トラクション・アシストは継続採用されている。

ポイントは、対話できるか

全モデルともサスチューニングが変更され、合わせて遮音性も強化。

また、走行ライン維持機能を備えたクルージング&トラフィック・サポートをスマートエディション以外に設定するなど、日常用途とレジャードライブの両面での安心・使い勝手を向上する改良が加えられている。

改良新型マツダCX-5 XDフィールドジャーニーの前席内装
改良新型マツダCX-5 XDフィールドジャーニーの前席内装    宮澤佳久

便利なので「人馬一体」でまとめてしまっているが、個人的には阿吽の呼吸とかドライビングや力学のセオリーをいい感じでバランスさせたところが狙い、と解釈している。

新旧CX-5のフットワークを比較して旧型を是とするドライバーにとって、新型は鈍った味付けと思えるかもしれないが、それは人馬一体を違えない方向性の変化だ。

操作に対する即応性を高く、予兆感なしの正確な応答は機械として間違ってはないが、人に優しいとは言い難い。

ごく短時間なら集中力も持続するが、そうでなければ対話感のある緩みも必要。そこが新型の操縦性の改良ポイント。

チョイ乗りでは切れ味が落ちたように感じても、距離が伸びるほど、平均車速が高くなるほどに、対話感の「間」のよさが伝わってくる。

落ち着き、馴染みのよさを体感

GVCの制御も、従来は操舵追従性向上のみだったが、新型では収束性の向上の制御も加わっている。また、フィールドジャーニーのオフロードモードでは常時4WD制御となり、しかも全速度域で走行可能。

いずれも高速の直進やコーナリングでの落ち着きを高めている。

改良新型マツダCX-5に加わった特別仕様車「スポーツアピアランス(写真は2.5Lガソリン車)」
改良新型マツダCX-5に加わった特別仕様車「スポーツアピアランス(写真は2.5Lガソリン車)」    宮澤佳久

もっとも、前述したように基本線を大幅変更したわけではなく、追従性などのちょっとした特性の変更が主。緊張の減少や馴染みのよさのウェイトを重くして、長距離レジャー用途への適性を高めただけだが、SUVの本筋に向けた変化である。

パワートレインに目立った変更は加えられていない。エンジン回転数・アクセル開度のほぼ全域において、コントロール感の変化は少ない。

アクセル制御や加速の変化は滑らかで予測をしやすく、無意識の運転で扱いやすい。こういった特徴は2.5Lガソリン車もディーゼル車に共通している。

最大トルクは排気量並みだが、レブリミット近くまで威圧感なく伸びやかな加速を維持できるガソリン車。巡航ギア維持力が高く、加速を必要とする多くの状況を1段のダウンシフトくらいでこなすディーゼル車。

レブリミットと最大トルクの違いにより得手が違っているが、操る勘所が似ている。ともに良質な操り心地を示す。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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