動的能力を磨いたツーリング ポルシェ・マカン Tへ試乗 走りに振った足腰+4発ターボ

公開 : 2022.04.14 08:25

ポルシェの人気SUV、マカンに専用シャシー・チューニングを得たTが登場。英国編集部が一般道で評価しました。

4気筒マカンのシャシーをチューニング

ポルシェがモデルラインナップにツーリングを意味する「T」を復活させたのは、2017年。先代に当たる991型の911 カレラTが皮切りだった。

その2年後には、718ボクスターと718ケイマンにもTが追加された。人気のコンパクトSUVへ展開されるのも、時間の問題だったといえる。

ポルシェ・マカン T(欧州仕様)
ポルシェ・マカン T(欧州仕様)

2022年、予想通りマカンにもTが登場した。ノーマルのマカンよりシャープでダイナミックな動的能力が与えられ、スタイリングもスポーティに仕上げられている。オプションの選択肢も、ポルシェらしく多彩だ。

エンジンは、1番手頃なマカンと同じ、最高出力266psを発揮する2.0L直列4気筒ターボガソリン。動力性能では、3.0L V6ターボを搭載するマカン Sの下に該当する。

だがシャシーは、T専用にチューニングを受けている。アンチロールバーは硬さを増し、車高は標準で15mmダウン。オプションのエアサスペンションを選べば、25mm低くなる。よりドライバーフォーカスなマカンであることは、間違いない。

見た目では、暗めのアガット・グレーに塗られたフロント・スプリッターやミラーカバー、サイドシル、ルーフスポイラーなどが特長。専用色の20インチ・アルミホイールが全体を引き締めている。

暗いボディカラーを選ぶと、専用ボディキットが馴染んでしまいそうだが、鮮やかな色を選べば充分な差別化が図られているのがわかる。試乗車のように青みがかったホワイトだと、効果的だ。

スポーツサルーンのようにコーナーを縫える

インテリアには、シルバーのストライプとステッチが施された、ソフトテックスと呼ばれる素材のスポーツシートが標準装備。ヒーターも内蔵される。スポーツクロノ・パッケージも、オプションで選べる。

もし、通常のマカンをTと同等の内容に仕立てると、マカン Sの価格を超えてしまうという。巧みな価格設定も従来どおり。

ポルシェ・マカン T(欧州仕様)
ポルシェ・マカン T(欧州仕様)

Sよりパワーで劣るマカン Tだが、エンジンがコンパクトなことで、フロント側の重量は58kgも軽い。ノーズの動きが軽快で、コンパクトSUVというより、Dセグメントのスポーツサルーンのように正確にコーナーを縫っていける。

ステアリングホイールの重み付けは完璧。姿勢制御も素晴らしく、ボディロールは最小限に抑えられている。

マカン Tでは、四輪駆動システムに手が加えられ、リアタイヤ側がより主導となるよう設定された。その変化は、限界領域付近まで攻め込まずとも体感することができる。

タイトコーナーからの脱出で、アクセルペダルを早めに踏み込んでみると、真っ先にリアタイヤが反応し若干アウト側へスライド。そのれから、マカンは前方に突き進んでいく。

ドライバーの気分次第では、思う存分リアタイヤを振り回すことも可能。グリップ力やバランスにも長け、ドライバーの自信を常に鼓舞してくれる。

一方でエンジンのサウンドは、心から楽しめるというわけではない。オプションとなる、スポーツ・エグゾーストを考えても良いかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    トム・モーガン・フリーランダー

    Tom Morgan-Freelander

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

ポルシェ マカンの人気画像