チャーミングなイタリアンが純EVに フィアット500e 長期テスト(初回) 第一印象は◎

公開 : 2022.04.30 09:45  更新 : 2022.05.03 10:46

交差点で周囲を置き去りにできる加速力

装備されたオプションは少数。高額なものとしては、600ポンド(約9万6000円)のグレイシャー・ブルー塗装と、500ポンド(約8万円)の17インチ・アルミホイールという2つ。

ヒーター内臓のフロントガラスとフロントシートを得られる、ウインターパックが450ポンド(約7万2000円)。ワイヤレス・スマートフォン充電機能は、130ポンド(約2万円)だ。

フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)
フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)

アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応するから、スマホの充電機能は有用だと思う。まだ選べない上級モデルも少なくない。

アイコン・グレードの500eの場合、パーキングセンサーが付いている。小さなボディだから視認性は良く、リアカメラがなくても大きく困ることはないだろう。

着座位置は高めだが、フロアに駆動用バッテリーが敷き詰められたスケートボード構造だということを考えれば、抑え気味。内燃エンジン版の500と、目立つほどの違いはない。

フィアット500eの第一印象は、かなり良い。50km/hくらいまでの加速はとても鋭く、交差点では周囲を置き去りにできる。

高速道路の速度域まで、活発な加速力は継続する。110km/hでの走行が航続距離にどう影響を与えるのかは、これから確かめてみたい。途中で充電が必要になるような、長距離旅行も考えている。

シートは快適。身長180cmの筆者にも不満のない空間がある。乗り心地は硬めだが、市街地メインでの通勤に使い勝手は良さそうだ。

慣れが必要な回生ブレーキの効き

当初、しっくり来なかったのが回生ブレーキの効き。ノーマル・モードではかなり弱く、レンジとシェルパ・モードでは途端に強力になる。ワンペダル・ドライブも可能なほど。

低速域になるほど効きが強まるため、交差点などでは意図した位置より手前側で止まってしまうように感じる。減速感が一定ではなく、駐車時などでクルマを滑らかに動かすには、少し慣れが必要だろう。

フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)
フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)

乗り始めて間もないフィアット500eだが、別の企画で持ち出された時は、運転できずに少し残念に感じた。それだけ早速気に入っているということだから、出だしは順調といえそうだ。

セカンドオピニオ

フィアット500eには、24kWhの駆動用バッテリー版もある。こちらは、冬場は主に市街地での移動にしか使えないだろう。42kWhの大容量が、ありがたいと感じるはず。

わたしがケンブリッジ周辺を運転した時は、とても楽しいと感じた。500eの魅力には、多くの人が惹き込まれてしまうようだ。 Piers Ward(ピアス・ワード)

テストデータ

価格

モデル名:フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)
新車価格:2万8495ポンド(約455万円)
テスト車の価格:3万175ポンド(約482万円)

オプション装備

グレイシャー・ブルー:600ポンド(約9万6000円)
17インチ・アルミホイール:500ポンド(約8万円)
ウインター・パッケージ:450ポンド(約7万2000円)
ワイヤレス・スマートフォン充電機能:130ポンド(約2万円)

テストの記録

航続距離:320km(WLTP値)
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    トム・モーガン・フリーランダー

    Tom Morgan-Freelander

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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