新興中国ブランドが欧州へ ヴォヤ・フリー・レンジエクステンダーへ試乗 シリーズ式HVで684ps

公開 : 2022.05.09 08:25

ツインモニターを搭載したシリーズ式HVのフリー。年内に欧州市場上陸を果たすという新SUVを、英国編集部が評価しました。

設立2年目にして欧州市場へ参入

中国の純EV市場は、急速に成長を続けている。ヴォヤという名前が初耳だとしても、不思議ではない。東風汽車集団(ドンフェン・モータース)の上級ブランドで、設立から2年も経っていないが、2022年後半には欧州市場への参入を予定している。

ヴォヤとして初めての量産モデルが、今回試乗した中型SUVのフリーだ。今後数年間でエントリーモデルのほかに、フルサイズのMPVやサルーンまで車種を増やす計画を立てている。

ヴォヤ・フリー・レンジエクステンダー・エクスクルーシブ・デラックス(中国仕様)
ヴォヤ・フリー・レンジエクステンダー・エクスクルーシブ・デラックス(中国仕様)

フリーのライバルは、同じ中国のニオES6だけではない。メルセデス・ベンツEQCGLCBMW iX3やX3といった、欧州の強豪とも渡り合えるという自信をうかがわせている。

試乗車のフリーは駆動用モーターで走るが、レンジエクステンダーとして内燃エンジンも搭載している。そのためラジエターを覆うフロントグリルが付き、スタイリングは従来的なもの。駆動用バッテリーだけで走る、純EV版もある。

ボディサイズは、DセグメントのSUVとしては比較的大きく、GLCより全長は約240mm、ホイールベースが85mm長い。そのおかげで、車内空間にはゆとりがある。特にリアシートまわりに。

逆スラントのCピラーで個性を主張しているが、従来的なデザインはインテリアにも反映されている。試乗車の内装はクリームとブルーでコーディネートされ、ヨットのような贅沢な空気感が漂う。

充実の装備に上質なインテリア

ダッシュボードには12.3インチのモニターが3面並び、見た目はモダン。乗降時にダッシュボード自体が数センチ持ち上がり、乗降性を良くするという仕掛けも付いている。ボタン操作で下げることもできる。

コネクティビティに対応し、中国仕様の場合、中央と助手席側のモニターには走行中でもビデオ映像を映すことが可能。スマートフォンとの連携機能としては、ファーウェイ・ハイカーというサービスを実装。カラオケ機能も備わる。

ヴォヤ・フリー・レンジエクステンダー・エクスクルーシブ・デラックス(中国仕様)
ヴォヤ・フリー・レンジエクステンダー・エクスクルーシブ・デラックス(中国仕様)

フロントシート側は、ヒーターとベンチレーションが標準装備。上級グレードならマッサージ機能も付く。リアシート側には、いずれも装備できないようだ。

ほぼルーフ全面を覆う、巨大なサンルーフは電子的に遮光が可能。ディナウディオ社製のサウンドシステムを採用し、10スピーカーが組まれる。トップグレードのエクスクルーシブなら、エアサスペンションも装備され車高を110mm調整できる。

既に中国ではフリーの販売が始まっているが、97%のユーザーがトップグレードを選択したという。装備を見れば納得ではある。

内装は、エコテックス社製の合皮で仕立てられている。ボルボが用いる素材と基本的に同じで、カラーバリエーションはブラックとブルー、クリームとブラウンといった組み合わせもある。触感が柔らかく、上級感がある。

センターコンソール部分のアルミ・トリムも雰囲気が良い。スマートフォンのワイヤレス充電機能や、インフォテインメント用のタッチパッドもある。エアコンは、実際に押せるハードボタンでも操作が可能だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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