ミシュラン・パイロットスポーツ5体感 4から5へバトンタッチ ジワッと来るバランスの良さ

公開 : 2022.07.24 05:45

途切れない新しさ

とくに素晴らしいと感じたのはコーナーの奥でステアリングを切り増したときのグリップ性能だった。

スロットルを軽く踏んだままクリアしようとすると、4ではグリップがすっぽ抜けてしまうのだが、5では舵角を増してもグリップ感が途切れない。

ミシュラン・パイロットスポーツ5
ミシュラン・パイロットスポーツ5    ミシュラン

この「途切れない」という感覚が、4と5の最大の違いだと感じた。

ドライ路面の4は転舵初期にガツンとコーナリングフォースが高まる印象があるが、その後のスリップアングル増加はグリップがわずかに途切れているといえるのかもしれない。

その点5は転舵の最初からステアリングを切り増した最後までフィードバックが一定で途切れることがない。

活発な30代から、40代になって少し落ち着いた感じ?

5の方がパターンノイズもロードノイズも静かだし、乗り心地も明らかに良くなっていることがわかる。

自動車が内燃機から電気に完全に切り替わるのはもう少し先だとしても、近年環境性能のハードルは一気に高くなっている。

そんな時代にあって、スポーツタイヤだけが以前と同じ方向性、歩幅で性能向上するはずはない。

今回パイロットスポーツ5の試乗が進むにつれ、総合性能の高さがジワジワと伝わってくると同時に、ただグリップを高めればいいというだけではない現代のスポーツタイヤ開発の難しさも実感した。

総合的なバランスに優れたパイロットスポーツ5は、性格的なクセがない、よりミシュランらしいタイヤともいえるので、マッチングの幅も広がっているはず。

これは時代の流れを反映した秀作だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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