欧州で人気のクロスオーバーが一新 キア・ニロ EVへ試乗 航続距離460km 後編

公開 : 2022.06.08 08:26

欧州で高い人気を誇る、キアのクロスオーバーがモデルチェンジ。英国編集部が2代目EV版の仕上りを確かめました。

俊敏なシャシー ワンペダルドライブも可能

2代目へモデルチェンジしたキア・ニロ EV。駆動用モーターは初代からのキャリーオーバーだが、ハーフスロットルで走らせていると、より力強く感じられる。スポーツ・モードを選択すれば、シャープな加速も披露してくれる。

ただし、テスラのように胸のすくような速さというわけではない。適度に活発と呼べる範囲。そのかわり走行時のパワートレインはとても静かで、風切り音も抑えられている。

キア・ニロ EV プロトタイプ(欧州仕様)
キア・ニロ EV プロトタイプ(欧州仕様)

筆者が特に好感を抱いたものが、ステアリングホイールのパドルで選択できる回生ブレーキの効きの強さ。3段階から選べ、最も強くすればアクセルペダルだけでの直感的なワンペダルドライブも可能。摩擦ブレーキとも、違和感なく共存できているようだった。

乗り心地は、低速域で若干硬さが目立つものの、スピードが高まればしなやかさも増していく。初代では、ペースを速めた時の質感が今ひとつだったが、走り味は熟成された印象を受ける。

姿勢制御も良好で、グリップ力も充分に高い。ステアリング操作に対する反応は予想しやすく、コーナリングもニュートラル傾向。侵入速度を高めていくとアンダーステアで外側に膨らむものの、全体的なまとまりは悪くない。

2代目ニロ EVの車重は1739kg。このサイズの純EVとしては軽い方といえ、フロアに並んだ駆動用バッテリーが重心位置を低く抑え、驚くほど俊敏にフロントノーズの向きを変えていける。

モダンな車内にゆとりあるリアシート

軽快なニロ EVだが、ステアリングフィールは磨き込みが足りない。ダイレクトに反応するものの、手のひらへ伝わる感触は不足気味。切り戻し時も滑らかではなく、電動パワーステアリングがアシスト量を決めかねているような、そんな雰囲気があった。

全体的な印象を大きく減じるほどではないものの、低速域では顕著。完全に仕上がった状態とは感じにくいだろう。

キア・ニロ EV プロトタイプ(欧州仕様)
キア・ニロ EV プロトタイプ(欧州仕様)

車内空間は、特にリアシート側でゆとりを増している。膝前にも頭上にも余裕がある。リアにもUSB-Cポートがあり、子供がスマートフォンを充電したい時に重宝しそうだ。

インフォテインメント用のモニターは表示が滑らかで、直感的に操作できる。システムは同じキアのEV6と同等のもので、スマートフォンとの接続にも対応する。

インテリアデザインはモダン。ダッシュボードには、エアコンやナビのインターフェイスになる、タッチセンサーのパネルも据えられた。

試乗車はプロトタイプということで、内装素材は最終的なものではなかったが、積極的にリサイクル素材が用いられている。サスティナブルという言葉をよく聞く時代には、正しい選択といえる。

リアハッチからアクセスする荷室容量は475L。荷室フロアの下には、充電ケーブルをしまえる収納も別に用意されている。ボンネットの下にも、ちょっとした小物を入れられる蓋付きのボックスがある。手持ちのポーチ程度のモノしか入らないけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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