ハッチバックと走りに遜色なし プジョー308 SW ブルーHDI 130へ試乗 後部座席は狭め

公開 : 2022.06.06 08:25

3代目へモデルチェンジした、プジョー308。ハッチバックと走りの差はどの程度なのか、英国編集部が評価しました。

好印象な操縦性を備えるファミリーカー

プジョーは、Cセグメントに属する新しい308で、好印象な操縦性を備えるファミリーカーを再発明したようだ。適度にコンパクトなボディサイズと、比較的軽い車重が与えられたハッチバックは、特にそう感じさせる。

では、重量のかさむボディに軽くないパワートレインを載せた、実用性の高いステーションワゴンはどうだろう。今回試乗したのは、重いディーゼルエンジンを搭載した、308 SWの ブルーHDI 130だ。

プジョー308 SW ブルーHDI 130 アリュール・プレミアム(英国仕様)
プジョー308 SW ブルーHDI 130 アリュール・プレミアム(英国仕様)

英国の場合、パワートレインの選択肢はハッチバックと同じ。プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のほかに、2種類の内燃エンジンから選べる。試乗車は最高出力130psを発揮する、1.5L 4気筒ディーゼルターボとなる。

ちなみに最高出力でいえば、1.2Lガソリンターボと同じ設定。だが、最大トルクは23.4kg-mに対し30.4kg-mと、ディーゼルターボが勝る。結果としてWLTP値での燃費も20%ほど優れ、20.1-23.0km/Lがうたわれる。

広い荷室と高効率のディーゼルエンジンを載せ、ファミリー層に喜ばれそうな308 SWは、ドライバーも喜ばせることができるのか? 英国の一般道で実際に確かめてみよう。

同条件ならハッチバックと走りの差は小さい

308のSWは、ハッチバックの308より全長が長い。ホイールベースも延ばされているが、先代よりは控えめ。2代目は110mmも違っていたが、3代目では55mmの差に留まっている。

オーバーハングも伸ばされ、リアシート後方の荷室容量はトノカバー下でハッチバックより50%も広い。さらにエントリーグレードを除いて、荷室フロアは2段階に高さ調整が可能。上級グレードなら、リアハッチが電動にもなる。

プジョー308 SW ブルーHDI 130 アリュール・プレミアム(英国仕様)
プジョー308 SW ブルーHDI 130 アリュール・プレミアム(英国仕様)

リアシート側の空間もハッチバックより広いとプジョーは主張するが、実際に大人が座ってみると、その差は限定的。ボディサイズの拡大は、主に荷室へ割り当てられたようだ。

頭上や膝前の空間には、フォルクスワーゲン・ゴルフ・ヴァリアントなど、ライバルモデルより余裕が感じられない。とはいえ小柄な人や10代前半の子供なら、狭いと不平を漏らすことはないと思う。

発進させてみると、308 SWはハッチバックより僅かに重いことを実感する。若干だが機敏さが失われ、姿勢制御の締まりも薄まっている。ドライビング体験の魅力は、ピュアテックでハッチバックの、軽い308には及んでいない。

しかし、同じディーゼルエンジンを積んでいるという条件で比べれば、その差は非常に小さいことも間違いない。現実環境で運転している限り、ステアリングへ機敏に反応し、終始安定している。

サスペンションが路面の衝撃を巧みに吸収し、車内は平穏。SWでも姿勢制御に不満はなく、荷物と家族で車内が一杯になったとしても、コーナーでドライバーを困惑させることはないだろう。気持ち良く運転できるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

プジョー 308の人気画像