巨大V12エンジンを運んだロールス・ロイス カリナン・ブラッグバッジで辿る 後編

公開 : 2022.07.30 09:46

1931年、ロールス・ロイスが急いで届けた大きな荷物。シュナイダー・トロフィーを支えた夜間走行を、英国編集部が辿りました。

レジャー施設に転用された空軍基地

グレートブリテン島の南、カルショットから中央部のダービーまで、ロールス・ロイスカリナン・ブラックバッジで走る。夜間ならリアリティが出るものの、写真撮影に向いていないから日中を選んだ。

今はグーグルマップという便利なものがあるから、一般道の確認も簡単。ゴージャスな運転席に座り、スターターのボタンを押す。6.75LのV型12気筒ツインターボ・エンジンが静かに目覚め、そっと発進する。

ロールス・ロイス・カリナン・ブラックバッジ(英国仕様)
ロールス・ロイス・カリナン・ブラックバッジ(英国仕様)

1913年、英国海軍は海上偵察と兵器開発を目的に、カルショットの岬に空軍基地を建設した。現在残っているのは格納庫程度で、レジャー施設に転用されている。岬の先端には、円形の要塞、カルショット城がそびえ立っている。

飛行艇が海上へ降ろされた、コンクリート製のスロープも一部が残っている。手前側にある倉庫の側面にあしらわれた、スーパーマリンS.6Bのモザイク画が、われわれを出迎えてくれた。

岬の先端へ向かう途中、オフロード走行を試す機会もあった。キャンプエリアの草地程度ではあったが、湿っていてぬかるんでいた。SUVとはいえ、ハイエンドなロールス・ロイスで立ち入ることなど、普通は思いつかないかもしれない。

車内には、オフロードと記されたボタンがある。より手強い不整地にも立ち向かえる能力が備わっていることを、静かに誇示するように。

滑らかに600psを発揮するツインターボV12

写真撮影を済ませ、グレートブリテン島の中央、ロールス・ロイスの工場があったダービーへ向けて出発。当時のドライバーがどんな苦労に見舞われたのかは想像するしかないが、カリナンを運転する筆者は、快適至極。何の心配もいらない。

ヘッドアップ・ディスプレイに表示される、スピードメーターは定期的に確認する必要がある。ダブルガラスと吸音材入りのタイヤ、遮音されたパワートレインなどのおかげで、車内は外界から隔離されている。

ロールス・ロイス・カリナン・ブラックバッジ(英国仕様)
ロールス・ロイス・カリナン・ブラックバッジ(英国仕様)

1931年のように、スピード違反で捕まるわけにはいかない。極めてシルキーに回るV型12気筒ツインターボは、滑らかに最高出力600psを発揮してくれる。

Rエンジンを載せたファントムIは、途中給油に立ち寄ったのだろうか。カリナン・ブラッグバッジが一般道で表示する燃費は、4.6km/L前後。右足を、少し注意深く動かしながらの状態で。

カタログ値の0-100km/h加速4.9秒を試すと、あっという間に数字は小さくなる。車重が2700kgもあるSUVにしては、かなりの瞬発力だといっていい。一方で、高速道路を穏やかに走っている間は、8.9km/Lが表示された。

途中、ガソリンスタンドに立ち寄った。ロールス・ロイスが指定するハイオクを満タンにしたら、160ポンド(約2万7000円)も取られた。

一般道を縫いながら、ダービーには午後7時に到着した。カーナビは、ロールス・ロイスの歴史的な航空機用エンジンや自動車を管理していた、ロールス・ロイス・ヘリテイジ・トラストのゲート前に誘導してくれた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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