いま運転の楽しいEVは? 3位〜1位 ポルシェ・タイカン GTS BMW i4 キアEV6 GT 英編集部選TOP 11(4)

公開 : 2022.10.16 08:25

費用対効果では圧倒する3位のキアEV6 GT

そして、この2台を上回るパンチ力を見せつけるのが、キアEV6 GTだ。費用対効果では圧倒するといっていい。英国価格は6万1595ポンド(約1016万円)で、今回のタイカンの半額近い。それでいて、加速力はより鋭い。

ドライブモードをGTモードへ切り替えれば、アクセルレスポンスは最高潮に高まる。EV6 GTの過剰なほどの感度を1度味わうと、シフトチェンジやエグゾーストノートのない寂しさなど忘れてしまう。

シルバーのキアEV6 GTとレッドのポルシェ・タイカン GTS スポーツツーリスモ
シルバーのキアEV6 GTとレッドのポルシェタイカン GTS スポーツツーリスモ

ステアリングホイールは重すぎる印象ながら、クロスオーバー風の見た目とは裏腹に、切れ味良くカーブを縫っていく。シャープなアクセルレスポンスと駆動用モーターのトルクを活かし、ラインを内側に絞ってもいける。

ただし、その展開はクイック。電子制御がすぐに待ち構えている。パワーをどの程度加え、カウンターステアをどの程度加えるべきか、考える猶予は短い。

限界へ達すると、EV6 GTの質量や背の高さが露呈する。姿勢制御が安定しなくなり、ドライバーによるリカバリーも求められる。

欲をいえば、前後の駆動用モーターのパワーデリバリーには、もっと一貫性が欲しい。特に攻め込んだ領域でそれを実感する。これは、タイカン GTSでも同様ではあったが。

EV6 GTは、軽くリアを流しながらコーナー出口に向けて加速できる時もあれば、姿勢を整えようとフロントアクスルへ多めのトルクが掛かり、なだめられる時もある。サーキットでなければ確かめられない挙動ながら、電子頭脳が介在する感覚は否めない。

とはいえ、若干荒削りな部分も好ましい個性として受け止められる。積極的な運転時にクルマへ気を配る必要性は、魅力の1つにもなり得る。キアEV6 GTは3位となった。

この続きは(5)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マーク・アンドリュース

    Mark Andrews

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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