20周年を祝う特別チューン フォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズへ試乗 332psを獲得 後編

公開 : 2022.11.09 08:26

VWの四輪駆動ホットハッチ、ゴルフ Rの誕生から20年。それを祝う最高の特別仕様を、英国編集部が評価しました。

パフォーマンス・パッケージが標準装備

フォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズでは、通常のゴルフ Rではオプションとなるパフォーマンス・パッケージが標準装備される。コンフォートとスポーツ、レースの3モードに加えて、ドリフトとスペシャルの追加メニューをドライブモードで選べる。

最後のスペシャルはドイツの難関、ニュルブルクリンクでセッティングを詰めた特別メニュー。積極的なサーキット走行に最適化されているという。

フォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズ(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズ(欧州仕様)

さて、確認はこのくらいにしてエンジンへ火を入れてみよう。スタートボタンを押すと、始動時に2500rpmまで1度吹かすエモーショナル・スタート機能が追加されている。もともと音響面で不満はなかったゴルフ Rだが、更に気持ちをアゲる小ワザといえる。

公道へ出てみると、市街地などを運転している限り、見た目の印象通り標準のゴルフ Rと目立った違いは感じられない。アップデート版ソフトウエアで制御されるエンジンは、コンフォート・モード時は柔軟で素直。太いトルクで粘り強い。

滑らかに回転しレスポンスは爽快。ステアリングホイール裏のシフトパドルで、小気味よくギアを選びたくなる。

スポーツ・モードへ切り替えるとエンジンの反応が意欲的になり、サウンドも聴きごたえのあるものへ変化する。だが、R 20イヤーズとしての本領が発揮されるのはレース・モード。歴代の量産ゴルフ最強の可能性を体験できるようになる。

実感できるエンジン・チューニングの効果

鮮明に実感できるのが、EA888型ユニットに与えられたチューニングの効果。回転を続けるターボが、一般道の速度域でも目に見えて違う加速を生み出す。極めてレスポンシブな振る舞いに惹き込まれる。R 20イヤーズの魅力の中心的存在だ。

通常のゴルフ R以上に、エンジンの能力の幅は広い。アクセルペダルを踏み込むほど、より滑らかで、より味わい深い。回転数は機敏に変化する。

フォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズ(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズ(欧州仕様)

熱意溢れるエンジンを受け止めるのが、自在にトルクを分配する四輪駆動システム、4モーションだ。電動油圧システムによって、前後アクスル間の制御を瞬間的に変化。トラクション不足を可能な限り防いでくれる。

更に、Rパフォーマンス・トルクベクタリング機能も搭載。リアタイヤ左右に掛かる駆動力を、常に最適化してもくれる。

R 20イヤーズの0-100km/h加速時間は4.6秒。充分に鋭いゴルフ Rから、0.1秒削ることに成功した。最高速度はパフォーマンス・パッケージを搭載したゴルフ Rと同様に、270km/hでリミッターが掛かる。

乗り心地や操縦性の、特性の振り幅が広いことは従来どおり。コンフォート・モードを選んでいても足まわりは引き締められた印象で、高性能なホットハッチに乗っていることを確かめられる。だが、我慢を強いられるほど硬くはない。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。アダプティブダンパーと組み合わされ、スキのない姿勢制御を叶えている。高速走行時の安定性は、ファミリー・ハッチバックとしてもストロングポイントだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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